【読書記録】女と男 なぜわかりあえないのか(著者:橘 玲)

このブログで良く読書した感想の記事にさせていただいている、橘玲さんの本ですが。

今回の本「女と男 なぜわかりあえないのか」は、あんまり読む気が起きませんでした。

ただまぁ。タイミングというものはあるもので。

直接自分が関係しているわけではなかったんですが、男女関係に悩む時期があり。

そんな時に、「あぁ、そういえば橘玲さんが本を出してたなぁ」と思い出し、読んでみることに。

橘玲さんの本について書く時に毎回書いていることですが。

自分は扱われている内容について、何か研究しているわけでも追求しているわけでもないので。

一読者の単なる感想ですので、あしからず。

格差社会の要素として橘玲さんが掲げる原点の一つ?

このブログに書いたもので思い出してみると、「世界はなぜ地獄になるのか」「無理ゲー社会」でも扱われていますし。

少しソフトに対応方法が紹介されているものであれば、「人生は攻略できる」でもそうですね。

知能格差により評判格差が起き、それによりマジョリティが性愛格差により分断されている。

ということを、研究データを示しながら説明していました。

で、「女と男」の出版年を見ると大体上記本と同じか1〜2年前となります。

(「上級国民/下級国民」は「女と男」の前だったことには驚きました!)

なので、この性愛格差部分の生物学、遺伝学、文化人類学、心理学的な根拠を取り扱っているのが本書であると、私は考えています。

正直、読まず嫌いで避けないでいれば、もっと今まで読んできた本を楽しめたんじゃないかなぁと。

読み終わった今だから思います。

性愛格差となると、やはり気分が重くなる内容でしたが。

本書で扱われる、様々な研究から明らかになっている性差は、とてもおもしろくて興味深い内容ですし。

納得感のある内容でもあります。

苦しみ

カバーに書いてあるこの本の紹介を引用すると。

「女と男」は人類の最大の関心事ともいえる。

カバー裏から

今は多様性の時代と言われ、様々な価値観を尊重することが求められていますが。

それらを一度置いといて、男と女の分類だけで考えた場合。

男は女に、女は男に興味があるものでしょう。

それは、生殖という本能があるため、自分の遺伝子を残すために避けられない興味でもあります。

生殖に関する男と女が果たす役割の違いから、生存戦略に違いがあるとしています。

男はより良い女を獲得するための「競争する性」。

女は良い遺伝子を獲得すること、子どもを安心して産み育てるための「選択する性」。

という違いです。

これら違いが、思春期以降のホルモンバランスの違いに現れるということに驚きつつ。

その戦略の違いにより、苦しみが違うため「わかりあえない」ということなのかなと。

「男は強すぎる性欲に苦しみ、女は強すぎる共感力に苦しむ」

32.〝触れてはいけない〟性愛のタブー P.243

分からないから思いやるのか、ルールを作るのか

苦しむ原因が違えば、単純に理解することはできませんし。

分からないということに気持ち悪さや恐怖を感じるのが人間です。

そのため、本書で紹介されている研究以外にも、コミュニケーションの違いとか行動の違いとか。

男と女の違いについて扱う本が無くならない理由なんでしょうね。

科学の発展により、脳内や遺伝子での発見があるでしょうし、なおさらという感じです。

とはいえ。

分からないことについて知識を得て、それについて類推できるのが人間でもあります。

100%その立場になれないとしても、どういう状況なのか、どんなことが起きているのか。

推察して言動に表すことができます。

が。

これは個人間ならまだできるとしても、類推すること自体をできない人がいるのも事実でしょう。

思いやりに溢れた世界は素晴らしいですが・・・個人差がどうしてもあるため、期待しすぎるのも酷です。

そのため、ある意味「一定」と本書で示されている、男によって効率的に社会が形成されていったことは当然だったとも考えられます。

が、女の社会進出が当然となった今、形成された社会に対する思いやりとして、女の生存戦略に沿ったルールを反映することは重要なのかなと。

そんな事を思いました。

語弊なく言えばですが。

マイノリティの多様性も重要ですし尊重されるべきものですが、まずは女と男の性差による多様性を尊重することが、ある意味一般層まで浸透しなければ、なかなか前に進まないような気もしてきます。

男と女のちがいは私たちの社会にゆたかな多様性をもたらしているのだ。

あとがき P.245

単なる対立構造ではなく、お互いに良く知り。

それが、利害関係なく。

ルールとして時代に即した形で反映されるようになれば、「わかりあえない」としても尊重しあえるようになるのかなとか。

そんなことを考えさせられました。

気づきと学びの多い本

正直、この本の感想は記事にしようとは思ってませんでした。

が、読み終えた時に、なんとも言えない充足感があり。

もう少し早く知りたかったという気持ちも湧いてきたので。

内容を振り返り、「あぁ、記事にしようかなぁ」と思った次第です。

このブログの読書記録カテゴリーの中でもだいぶ緩い記事になった気もしますがw

本書のタイトルの「女と男」という表記の順番にもちゃんと意味がありますし。

扱っている内容は、高校の授業の内容でも良いじゃないかとも思います。

知ったことで、自分の行動をどう変えるのか。

柔軟な人間になりたいなぁ。