【読書記録】書いてはいけない 日本経済墜落の真相(著者:森永卓郎)|希望を持っているからこそ

2024年11月28日

積読が加速しているんですが。

Youtubeのオススメに流れてきたのが、森永卓郎さんのインタビュー動画。

今回の本「書いてはいけない 日本経済墜落の真相」の次作となる「投資依存症」を出版してのインタビューだったんですが。

その中でも触れられていて、気になったので読んでみることに。

積読している本も全部読みたい本ばかりなんですが。

それよりも興味をそそられたのは、タイトルのせいだと思いますw

3つのタブーの中に希望を見出した?

まず、書いておかなければならないのは、私はただ単にこの本を読んだだけであるということです。

扱われている内容の真偽を判断することはできませんし、それについてとやかく書くつもりはありません。

この本を読んだ上で、内容というよりも全体として自分が感じた事を書いて行きます。

さて、まずは本の内容をざっくり。

今回の本「書いてはいけない 日本経済墜落の真相」は、メディアでタブーとされている3つの事柄に切り込み、報道や当事者の資料を元に真相に迫る内容です。

1,ジャニーズ性加害問題
2,財務省のカルト的財政緊縮主義
3,日本航空123便の墜落事故

1つ目のジャニーズ性加害問題についは、目新しいニュースではありますが。

この本の中で一番重要なテーマであると感じています。

というのも、この問題の扱われ方と一通りの解決までの流れに、作者である森永卓郎さんが希望を見出したんじゃないかと思うのです。

それが、本書の中でも度々書かれているニュアンスの、「メディアが取り上げることによって、社会現象にまでなった」というところです。

森永さん自身がメディアに関わっていたこともあり、触れてはいけない話題だからこその「書いてはいけない」というタイトルなわけで。

それが、一人の勇気ある行動を元に状況を動かすことになり、それを社会問題まで増幅させたメディアの力を感じたのではないかと。

であれば、問題意識や勇気を持つことによって、続く2つの問題も解決できるようになるのではないか?

という告発本という体を取った啓発本かなぁと。

勝手に思ってます。

報道やメディアの存在意義として、権力の監視というのは耳にしますが。

報道各社も所詮は利益を追求する会社で、スポンサーの意向には逆らえないでしょうし。

しかし、その利益の中身は視聴者で、興味をもたせることでメディアを動かし、状況が改善すれば良い。

という感じなのかなと。

実際に、財務省と日航機123便の問題が今の日本経済に影響を与えた要因になっていると森永さんが考えているからこそ。

ある意味では、勇気ある1人の行動、もしくは行動している人の声を増幅させる媒体として書き下ろしたのかなぁと。

実際、今では連日SNSの投稿を元にニュース番組が作られている事も多いですし。

そのように個人が発言、発信することが以前よりも取り上げられやすくなっています。

なので、メディアに対しては本来の役割を思い起こさせ。

視聴者に対して問題意識を持つことを促し、陰謀論で済ませないようにしたいのかなと。

当事者やその活動を支援する人たちが、より強力にメディアを動かし、社会をより良くしてって欲しいというような。

色々と深読みしてしまうくらい、メディアと現代を取り巻く環境に対し、森永さんが希望を見出したように感じました。

問題意識を持つこと

といっても、その内容の真偽について自分で確認するよりも。

自分の生活を守ることを優先するのが当然で。

しかも、賛同や同意を表明することにリスクが伴う場合もあります。

人間は社会的な生きものなので、共同体を離れて行きていくことは困難です。

なので、橘玲さんの「バカと無知」に言う「合理的な無知」を選択するんだと思います。

しかしその結果が、今のメディアが抱える権力に対する構造的な問題を生み出したのかもしれません。

真偽を確認し、その内容を国民に伝える役割を担うメディアが、その役割を遂行する機能を果たせていないという意味で、です。

視聴者がそのように感じていることを表すのが、少なくはなりましたが「マスゴミ」という言葉でしょう。

しかし、起点からの増幅には、メディアの力だけでなく社会の風潮が扱うテーマを問題だと認識することが必要です。

ジャニーズ性加害の問題もそうですが。

問題として取り上げられる前に、多様性を目指す中で人間の尊厳を踏みにじるような行為に対し、社会が問題意識を持つような風潮になったというのが大きいと思います。

つまり、一部の視聴者ではなく、多くの視聴者が問題として認識する環境の力も必要だと思うのです。

なので、視聴者、つまり個人も「合理的な無知」ではなく問題意識を持つようにし、それに関心を持ち続けるということが、重要なのではないかと。

この本で取り上げられている問題については、ジャニーズ性加害問題はともかく。

内容とりあえず真実であると飲み込んでも、他2点については相手が国家権力ということになるので。

なおさら真偽については分からない状態が続くのが当然とも思います。

なので、社会の一員としてできることは、真偽は分からないままにしておくけど、問題意識と興味は持ち続けること。

その話題に触れられるタイミングになったら発信できるように用意をしておくこと。

つまり、勇気ある行動者を後押しすること。

ただ情報を受取るだけではなく、それまでの情報と組み合わせて、アップデートする。

そういった行動により、社会の風潮を作る一端になることが大切なのかなと。

もちろん、自分の興味関心により、真偽を確認するために調査・研究をした結果を発信することもできます。

そう考えていくと、日航機123便墜落事故などの特集が一定期間ごとに組まれるのは。

メディアとしての抵抗なのかもしれないと、捉えることができます。

「ユーチューバーが消滅する未来」という本について扱った記事では取り上げませんでしたが、岡田斗司夫さんによると。

情報化社会の本質は、「大きな事件の解釈や感想が無限に溢れ出す社会」であるということです。

無限に溢れ出す情報により、社会の風潮を作り出し、問題をあぶり出すことができるのでしょう。

その問題をメディアが取り上げることにより、解決できないと思っていた問題が解決できるようになる。

そんな希望を、森永卓郎さんはこの本に込めたのではないかと思います。

しかし、「無限に溢れ出す」分、スルーしやすいのも事実です。

そうならないように、問題意識を持つことや、アンテナを張っておくこと。

日々の行動を考えさせられました。

参考:バカと無知 人間、この不都合な生きもの‐橘玲
参考:ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く‐岡田斗司夫