【読書記録】日本人はなぜ日本のことを知らないのか(著者:竹田恒泰)|日本が世界に誇れる文化

2025年1月8日

今回は竹田恒泰さん「日本人はなぜ日本のことを知らないのか」です。

本屋でタイトルをみた時に、「確かに!」と思って購入し。

読むのにずいぶん時間がかかってしまった本です。

自分の興味というか、教養の本は後回しにしがちなんですが。

もっと早く読んでおけば良かったと思いました。

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同僚との会話で思い出した

買うきっかけはタイトルでしたが、読むきっかけはふとした同僚との会話でした。

仕事の話をしていた時に、「日本が嫌だなぁ」みたいなことを言っていたので。

内心、「じゃあ外国に行ってみれば良いのに」と思ってました。

あんまり深い仲では無いので、どういう人生を送って来たかは分かりませんが。

日本の仕組みやら何やらが嫌がという感じだったんです。

自分としては、平均的に治安も良く。食事も美味しいし。

少なくとも生活に困ることはそんなに無いと思うのです。

ある意味では挑戦する機会も本人や環境次第とはいえ、それなりに整えられているとも思います。

でまぁ、なんとなく話を聞いていると、日本に生まれた事の自信というものが持てないのかなぁと。

自分のスキルや経験への自信は合っても、無意識に近い領域での帰属意識で劣等感のようなものを抱えているのかなと。

そんなことを考えていた時に思い出したのが、今回の本でした。

検定を通過した教科書も出版されている竹田先生

この「日本人はなぜ日本のことを知らないのか」という本は2011年に出版されたものなので。

今から約10年前とかにはなりますが、自分が手に取ったのはコロナ禍の時でした。

たまたまYoutubeをボケーっとみている時に、この本の著者でもある竹田恒泰さん(先生なんですよね。)の動画がオススメに上がって来て。

なんとなく面白さを感じ、名前を覚える事になり。

そんな時に本屋で見かけたのが、このセンセーショナルなタイトルなので。

「確かに!」と思いつつ、「これは面白いだろうな」と手に取った記憶があります。

この本は2部構成になっていて。

文字のない時代に建国した日本を歴史学や考古学の両面から考察する第1部と。

第1部を踏まえて、日本の建国について伝える理想の歴史教科書の提案をしている第2部

となっています。

実際に2024年の6月には中学生用の教科書検定に合格した、「国史教科書」という本の出版も実現されているので。

今では第2部よりもそちらを読む方が良い気もします。

先に書いたYoutubeの内容は・・・覚えて無いんですがw

竹田さんが旧皇室の方という印象は残っていまして。

そういう人たちには(失礼な言い方なのかもしれませんが)日本がどう見えているのか興味があったのと。

言われてみると、古代日本については自分から学ぶ姿勢を持たないと知ることができないよなと。

この本でも登場する古事記日本書紀は、歴史書というよりも受験勉強の道具というイメージの方が強いですし。

源氏物語は読んでも古事記は読まなかったなぁと。

なので、同僚との会話をきっかけに一気に気になってしまい。

今回読むことにしたのです。

今の世界に必要と思えることを実現していた大和朝廷

本を読み進めて、一番最初に衝撃を受けたのが。

まだこの本の序盤の第一章「日本の教科書は世界の非常識」の見出しです。

神話を教えない民族は必ず滅びる

第一章「日本の教科書は世界の非常識」 P.37

日本の神話と言えば、神社に祀られている神々について描かれている、古事記となるわけですが。

先ほど書いた通り、教わるというよりも受験勉強で必要だから、なんとなく読解することができるようになって、忘れる。

というモノだと思います。

対比としてアメリカなどキリスト教圏の聖典である聖書の教育についても触れられています。

十代のころにアメリカで過ごしたことがあるんですが、聖書に対する敬意を一般のアメリカ人は持っているという印象を受けたのを覚えています。

単なるキリスト教の経典ではなく、事実も交えられている神話として教育が用意されているということを知り、この印象を受けた理由が腑に落ちたという感じです。

少なくとも、自分はそういった敬意を古事記に対して持ったことはありませんでした。

第二次世界大戦後の占領政策によって、神話教育が徹底されなくなった結果の一つが、当時の自分の状態だったのかなと。

神話は真実を語っているため、その精神的気質という民族としての価値観を形作ることができる役割として、重要な教育だということです。

その価値観を形作るものとして。

価値観は主に①自然観、②死生観、③歴史観の三つの柱によって構成されている。歴史観は日本人の精神的気質を構成する柱の一つであり、決して失っては行けないものである。日本の独立自尊のために、現代日本人は、日本の国の成り立ちと、それを守ってきた先人たちの努力を知っておくべきだろう。

あとがき P.238~239

と、説明されています。

どこか日本人であることに自信を持てないことの一つに、戦国時代や近現代史には詳しくても、どのように日本ができたかを教育されていないことがあるのかなと。

そんなことを思いました。

・・・まぁ国の成り立ちが、棒で掻き回してできたと言われても、ピンとは来ませんが。

ここらへんは、聖書などの外国の聖典と対比しながら書かれているので、どの様に捉えることが、民族としての価値観につながるか分かりやすく説明されてます。

ピンと来なくても大丈夫でしたw

なるほどなぁと思いながら読み進めて。

「日本が世界の中心として〜」とか、「リーダーシップを〜」ということが言われる理由がなんとなく分かった部分。

・・・ということは、日本では戦争のほとんどない平和で安定した時代に、統一王権が成立したことを意味する。

<中略>

それが可能だったのは、武力で一方的に併合するのではなく、あくまでも話し合いで、すなわち「ことむけ」により国々をまとめようとしたからだろう。

<中略>

大規模な戦争を経ずに、主に話し合いで統一王権を成立させたのが、我が国の統一の歴史だったのだ。

第四章 戦争なく成立した奇跡の国家 P.109~112

二度の大戦の悲惨さから、武力によらない平和の実現を夢みている近現代だと思いますし。

大きな戦争は無いとしても、紛争地に対して、外交と対話による和平案の実現に働きかけるように促しているとも思います。

引用部分は古代日本の統一や建国の話で、争いの仲裁ではありませんが。

言語は違うとしても、国と国をまとめる、協調するという意味では現代の国家間の関係として求められているものに、通じるものがあると思います。

状況や背景が違うとは言え、古代日本では話し合いによる統一という難しいことをやり遂げていた事に、純粋にすごいなと感じました。

しかも、現存する建造物や発掘されたものから、信教の自由やその土地・国の文化を尊重することによって可能としていたことがうかがえることに、さらに驚きました。

これも現代の問題の一つ・・・というか、多様性を尊重し多様な幸せを追求できる社会を目指す、現代の思想そのものの様にも感じます。

その背景にはちゃんと、利害関係があり。

Win-Winな関係を築くことで、大和朝廷の名のもとに共存共栄の関係が成り立っていたと。

古代にそんな高度な調整が行われていたことにも驚くと共に、少し誇らしく思ったのも事実です。

自己啓発の源流とも言えそうな「和の精神」

と、長くなってしまいましたが。

この本の内容から学びとなった一部分に、最後に触れます。

古代日本が中国からの独立を目指すために、聖徳太子が定めた十七条の憲法の冒頭の一節について説明されている部分です。

えーっと、解説部分から引用させていただきますと。

聖徳太子が冒頭に示したのは「和の精神」だった。「和」は自己の主体性を保ちながら他者と協調することであり、自己の主体性を失って他者と協調する「同」とは似て非なるものである。

第五章 中国から守り抜いた独立と自尊 P.140

この本の前後で自己啓発本を読んでいたこともあり。

度々出てくるか、暗に示されているのが「主体性」でした。

今の時代を生き抜く知恵として、主体的な人間になることが良しとされていて、それを元に相手と関わって行こうと。

そんな現代人の足元を照らすような言葉が、西暦5世紀の段階で当時の朝廷の役人の心構えとして示されていたのです。

このことから思ったのが、日本人は元々こういう文化の元に生きていたということです。

ということは、現代における様々な問題に対しても、有効とされる解決策のようなものを遺伝子レベルで知っている可能性があります。

もちろん、勉強や自己研鑽は必要ですが。

こうした考えや価値観を認識し行動することができた民族だということを知れば、日本人であることへの誇りや。

関わる人へポジティブな印象を与えることができる存在になれるんじゃないかと。

そんな勇気をもらえた気がします。

回帰するということでしょうか

単なる興味で読み進めたものですが、古代日本からこんなにも驚きと共感と勇気を貰えるとは思ってもいませんでした。

いろんな自己啓発書やビジネス書を読み続けるよりは、日本の歴史から学べることの方が多いんじゃないかとも思いました。

誇りや勇気と少し熱く書いた気もしますが、日本や日本に生まれたことが好きになる入口の本。

そんな印象です。

早速、古事記を注文して温めている、影響を受けやすい私でございますw

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