心理療法の整理|心理学検定 A領域(臨床・障害)

問題を抱える人達の解決を目指すのに、心理学の研究成果を応用するのが「心理療法」です。

心理学検定の内容に沿って今回も学んでいきますが。

心理学の各理論が元となっているため、復習にもなりますね。

インフォグラフィック

行動へのアプローチ

レスポンデント条件づけ

行動心理学を療法に活かしたのが行動療法です。

行動心理学の内容は以下の記事で扱っています。

行動はすべての学習の結果であると考え、問題の原因は学習した内容にあるとします。

そのため、正しい行動を再学習したり、消去・修正することで問題を解決できるとします。

手法自体は心理療法に限らず、色々な分野で活用されている印象です。

特に自己啓発の行動を変えることに主眼を置いたものでしょうか。

今回は療法なので、メンタルヘルスの問題となってしまっている状態での対処法です。

まず、特定の状況や条件のときに不安や恐怖を感じるのは、「レスポンデント条件付け」の効果であると考えられます。

それまでは特に何も感じなかった「中性刺激」が、何らかの原因によって「条件刺激」となり、不安や恐怖を感じさせる「条件反応」に至ると考えます。

この不安や恐怖を獲得する過程が、学習されたものとされます。

これを解くための技法として、同じ状況下でも不安や恐怖が発生しなかったという体験による軽減から、不安や恐怖の反応を消去することを目指す「エクスポージャー」が用いられます。

ウォルピの「系統的脱感作法」がこの技法の初期の物に当たります。

①不安拮抗反応を取得する。
➾まずは、漸進的筋弛緩法などのリラクセーション反応を得る方法を習得します。
②不安階層表を作成する。
➾不安階層表:不安や恐怖を引き起こす対象を細かく分け、主観的強度の順に並べたもの。
③不安階層表の強度順にイメージや現実で直面し、不安拮抗反応を利用して軽減する。
➾リラクセーション反応を利用することで、不安や恐怖に耐えられることを学ぶ。

何の準備もないまま、不安や恐怖に対処しようとしても、それを克服することは難しいでしょう。

なので、まずはリラックス方法を見に付けます。

そして、クライエントが恐怖を感じる状況や対象をメモなどで全て書き出し、苦手な順に並べます。

この時に「不安を感じるのは20%程度」のように、数字で表現するのも効果的です。

不安階層表を元に、その場面をイメージしたり体験する時に、リラクセーション法を実行し。

「これなら大丈夫そう」という体験をクライエントに促すことが主な方法です。

深呼吸などの呼吸法は、どんな場面でも使いやすいものです。

不安や恐怖や不適応行動の維持は「オペラント条件づけ」で説明できます。

オペラント条件づけ

私達は、刺激に対する行動の結果、望ましいものであれば増加、望ましくなければ減少するという学習を行います。

これらは、良い結果だったから増加することもありますし、行動を増やしたことで悪い結果が減るということもあります。

行動を増やす要因を強化子、減らす要因を弱化子と言いますが。

こららの因子は環境や文脈などの影響を受けるため、先行事象‐行動‐結果の「三項随伴性」から機能分析を行うことが重要とされています。

この原理を利用したものの一つが、「トークンエコノミー法」です。

トークンとは、暗号資産でも使われる言葉ですが、代用貨幣という意味があります。

シールやスタンプを集めると、ご褒美を貰えるというような方法で使います。

こういった原理を知らなくても、使っているかもしれませんね。

また、何かの行動を変える場合、模範となる人の真似をすることもあります。

これは「モデリング」という学習方法で、バンデューラが提唱した「社会的学習理論」の元となる方法です。

モデルとなる人の行動が強化されることで、自分の行動も強化される「代理強化」や。

自分自身の目標を達成することでの「自己強化」などが期待されています。

「モデリング」はソーシャルスキル・トレーニングでも利用されています。

①教示
②モデリング
③行動リハーサル
④フィードバック
⑤般化

という構成で、良好な対人関係の構築と維持に必要な要素の学習を目指します。

認知へのアプローチ

行動療法は起きている出来事に対する行動を変えることで、問題に対処する方法でした。

しかし、不安や恐怖だけではありませんが、物事の捉え方が問題の原因となっている場合もあります。

認知療法を創始したベックは、そのような「認知の偏り(認知の歪み)」を明らかにし、症状軽減や問題解決を目指します。

「認知の歪み」は、自動思考とスキーマの2つからなります。

・自動思考
ある特定の場面で瞬間的に頭の中に現れるイメージや考え。比較的用意に意識化できる。

・スキーマ
自動思考の背景にある価値観やに人生観のようなもの。

自動思考の内容を検討し、一定のパターンを見出すことでスキーマの内容を明らかにし検討するというステップを踏むことで。

認知の状態を適応的に変えていくことを目的とします。

エリスは「論理情動行動療法」で、人間の反応は出来事をどう受け止めるかという認知によって生じるとします。

これは「ABC理論」と言われるもので、「悩み=結果(C)」は「出来事(A)」を受け止める「信念(B)」によるとされ。

記号で表すと、AをBと捉えることでCとなる、ということです。

Bは「非合理的な信念(イラショナルビリーフ)」と「合理的な信念(ラショナルビリーフ)」の2つからなり。

イラショナルビリーフをラショナルビリーフに変容することで、Cを変えることを目指します。

このような認知に働きかけるアプローチと、行動に働きかけるアプローチは、個人の努力で変えることができるものです。

この両方のアプローチを取り入れた心理療法を総じて「認知行動療法」と言います。

メンタルヘルスの問題を抱える方はもちろん、マインドセットやメンタルハックのようなものでも取り入れられる手法でもあります。

現在主流なのが「第3世代の認知行動療法」と言われているようで、「マインドフルネス」や「アクセプタンス・コミットメントセラピー」などがあります。

これらの特徴は変容するよりも、あるがままを受け入れ観察することで、不快な感情や思考と適切に関わり。

人生において重要とするものに価値を向け、適切な行動を選択していく。

そのような方法です。

自分の感じていることや考えていることを客観視することで、問題を冷静に受け止めることができるとともに。

自分自身に価値を感じることができるようにもなります。

途中でも書きましたが、認知行動療法の考え方は様々なことに応用できるので。

覚えておくと、ストレスへの対処だけでなく自己実現や目標達成に向けての思考整理などにも応用できますよ。

集団へのアプローチ

認知行動療法の元となる認知モデルは、認知・行動・情動・生理はそれぞれに影響を与え、この4つに状況・環境の影響があるとしています。

行動療法や認知療法は、どちらかと言うと問題を抱える個人に焦点を与えた心理療法と言えますが。

環境の側面に注意を向けた療法もあります。

ベトナム戦争後のアメリカでの社会的な背景により。

個人療法で回復したとしても、家族に問題があると元に戻ってしまうという問題が顕在化したそうです。

そこで、家族という環境に対するアプローチが考えられました。

「システム理論」により家族全体を一つのシステムと捉え。

ベイトソンは歪んだ家族内のコミュニケーションなどの理論を、「ダブルバインド・セオリー」で確立しました。

主流の「システムズ・アプローチ」では、家族の構成員の関わり方に問題点や悪循環がないかを見ていきます。

使われる療法は様々で、行動療法や認知療法の要素、ゲシュタルト療法の「エンプティ・チェア」などが用いられます。

問題ではなく「うまくいっていること」や問題解決に注意を向け、治療の効果性や効率性を重視した短期療法の「ブリーフセラピー」も実施されています。

家族だけでなく、地域にも目を向けたのが「集団療法」です。

メンバーの相互作用により、自己や他者に対する洞察が深まるとともに、問題解決能力が高まり。

クライエント同士が支え合う効果が期待されています。

治療だけでなく、社会心理学の発展にも寄与しています。

社会的な関係を築いて生活を送るのが人間なので。

個人と集団の相互作用に着目した理論は、私たちにとっても学びが多いですし。

知らず知らずに応用されたものを、学校教育の中で受けているかもしれないですね。

自律訓練法

リラクセーション法であるとともに、心身全般の変換をもたらす方法として、シュルツが創始した自律訓練法があります。

催眠と同じ状態である、「安静感」・「重感」・「温感」等の感覚が得られる方法です。

中心となる標準練習は以下の通り。

・背景公式:安静練習
・第1公式:四肢重感練習
・第2公式:四肢温感練習
・第3公式:心臓調整練習
・第4公式:呼吸調整練習
・第5公式:腹部温感練習
・第6公式:顎部涼感練習

緊張から弛緩、興奮から鎮静、エネルギー消費状態から蓄積状態へと向かう、心身の全般的変換を体験することができます。

緊張状態を解くことで、治療状態がえられるということですね。

個人で行う場合には、第1公式だけでもリラックス効果を得られるとされています。

日本の心理療法

森田療法は、神経症患者の自己内省や洞察を促すプログラムです。

・第1期:絶対臥褥期
食事以外は意図的な安静状態におき、自己内省を促す
・第2期:軽作業期
数日程度、病院内の清掃を行わせる
・第3期:重作業期
1〜2週間程度、屋外作業を行う
・第4期:生活訓練期
1週間〜数週間、学校・職場に通いながら社会復帰の準備を行う

入院が前提の療法ですが、「生の欲望」を刺激し、ありのままの自分を受け入れ、必要な行動をすることを目的としています。

内観療法も、1週間程度隔離された状態で内省を繰り返します。

心理療法だとカウンセラーとクライエントという関係ですが、内観法の場合は指導者と内観者という関係です。

指導者は期間中、内観者の身の回りの世話をすると共に、内観者に内省のお題をだし。

内省の内容を聞くことで、ない感謝の内省を助けます。

効果が高い療法と言われていますね。

このように、日本独自の心理療法はどちらかというと、第3世代の認知行動療法に近い内容であると言えます。

仏教などの文化的な背景もあると思われますが、内省により自分のことを振り返る過程は「修行」を連想しますし。

社会との関わることや、関わりについて調べることも、新しい見方を手に入れる方法として、日本人らしさを感じます。

クライエントのために

一部ですが、心理療法についてまとめてみました。

個人に向けたものや、集団に向けたもの。

行動に向けたものや認知に集中したものなど、様々なものがあります。

どれも効果が認められているものですが、相対するクライエント全員に効果があるとは限りません。

クライエントの状況や状態に合わせて、効果が見込める方法を選択するためには。

心理学的な知識はもちろん、療法の効果についても知識を深めないとなと。

気持ちを新たにすることができました。

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著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!