臨床心理学の理論的な流れ|心理学検定 A領域(臨床・障害)

私達は日々、様々な感情のもとで生活を送っています。
喜びや悲しみだけでなく、不安や怒りなど、様々な感情が沸き起こります。
程度の差はあっても、だれもが何かしらの問題を抱えていると言えるかもしれません。
自分一人では抱えきれなくなった時に、身近な人以外に頼るのが精神科医やカウンセラーです。
カウンセリングや心理療法を用いて、私たちに寄り添う診療を心がけてくれています。
臨床心理学は、そのような臨床の現場で扱われる心理学について学びます。
まずは、「精神分析」と「人間性心理学」を抑え、臨床心理学の源流を知ろうと思います。

精神分析:「無意識」の発見

臨床心理学は人の心を理解することで、クライエントに合わせたアプローチを行います。
その始めの一つと言われているのが、フロイトの「精神分析」です。
フロイトの功績として大きいとされているのが、「無意識」の発見。
ヒステリー患者に対し催眠療法を試みたフロイト。
その患者が、通常意識に上らないような内容がクライエントの語りの中で表れると共に、クライエントの状態が良くなっていく「カタルシス効果」を発見し。
自分でも気付かない「無意識」によって私達の行動は操られているということを発見します。
「局所論」の中で、快感原則に則った「リビドー」という心の動きにより。
意識・無意識・前意識の3層となっていて、何らかの役割や意味があるとされました。
これらを概念化し機能的な違いとして、イド(エス)・自我・超自我と分類したのが「構造論」です。
・イド(エス)
本能的欲求。人が無意識的に持つ欲望・本能・願望のありかで、衝動的性質をもつ。
・超自我
道徳や良心といった社会的規範の形成。自我の役割である、欲望や衝動の調整を監視する役割。
・自我
調整役。
イド(エス)からの欲求を現実に適応させる。
超自我による抑え込みから発生する、不安や恐れの程度を調整し、バランスを守る。
フロイトは患者に自由に話をさせる「自由連想法」を積み重ねることで、人の心をこのような3層構造で捉えました。
精神分析は、この理論を元に発展していきます。
心理‐性的発達論
「心理ー性的発達論」では、イド(エス)に対し自我や超自我と発達との関係を、リビドーの発達から展開しています。
・口唇期:生後1歳前後
口唇による刺激の取り入れを体験する。
・肛門期:1〜3歳前後
排泄の欲求と、してはならないという社会的制約の中で葛藤が生じ、自我が発達する。
・男根期:3〜6歳前後
性別の違いを意識し始め、エディプス・コンプレックスに繋がっていく。
子供‐母親関係に父親という第三者が入ってくることでの葛藤も生じる。
・潜伏期:6〜12歳前後
幼児期の葛藤は一時的に抑え込まれ、社会的な活動に取り組む。
近年では、潜伏ではなく葛藤が健在化している時期という見方もある。
・性器期:第二次性徴期
生物学的な性差を意識するようになる。他者愛獲得の時期。
自分の中の衝動であるイド(エス)に対し、成長過程での出来事により自我や超自我がどのように発達するのか。
適切な発達が見られなかった場合に、今の苦しみの根源になるという見方です。
現代の子供の成熟の早さなどで、時期が前後するようですが。
それも時代に合わせた人間の進化でしょう。
自我の防衛機制

「自我は調整役」と書きましたが。
実際に、イド(エス)の衝動を超自我が抑え込み、自我がバランスを取る方法をアンナ・フロイトやクラインが体系化しています。
・抑圧:基本的な不安回避
・置き換え:ある対象に持っている感情を別の対象に置き換える
・反動形成:抑圧された衝動と反対の行動や態度を示すこと
・否認:不快な感情を引き起こす現実を認めないこと
・退行:苦痛な現実から逃れるために、より早期の発達段階に戻ること
・合理化:イド(エス)に基づいた思考・感情・態度を理屈づけして正当化すること
・知性化:苦痛な状況を観念的・知的に捉え、付随する感情を切り離すこと
・同一化:自分と他者との境界が曖昧になり、他者の属性を取り入れ自分のものとしてしまうこと
・投影:自分の認めたくない衝動を相手の方が持つと考えること
・昇華:イド(エス)の衝動を社会的に認められる行動などで発散すること
いかがでしょうか。
私では・・・合理化や知性化はよく起こっていることかもしれません。
他にもいくつか思い当たるフシはありますが、これは状況に適応するために自我が行っている調整とのことなのです。
このような行為が見られるから、精神的に問題を抱えているということではなく。
自分自身を守るために自我が働いている。
そのように考える視点も必要です。
人間性心理学:成長を促す

フロイトから始まった精神分析は、病理的な側面があります。
また、行動心理学は外面に働きかけるという側面があります。
効果を上げているとは言え、クライエントにとって良い状態をカウンセラーが選びそちらに向かうようにしていたということに問題を感じ。
クライエント自身が良い状態を選ぶことができ、それを促すような関わり方が重要だとしたのが、人間性心理学です。
前者のような関わり方を「指示的カウンセリング」といい、後者の関わり方を「非指示的カウンセリング」と言います。
人間は潜在的に、主体性を持って健康に向かう力を持つという、可能性を実現することが目的咄嗟れていて。
カウンセリングを学ぶ時に土台とされる考え方です。
潜在可能性を実現することが「自己実現」で、有名なのはマズローの「欲求階層説」です。
ピラミッドで図解されることが多いですが。
下から、
①生理的欲求
②安全欲求
③所属と愛の欲求
④承認欲求(他者と自己)
⑤自己実現欲求
と満たしていく、成長欲求を人間は持っているとします。
自己啓発系の本でもたびたび取り上げられるのでお馴染みかもしれませんが。
①〜④を満たすために、私達人間は様々な行動を取ります。
一つずつ段階的に満たし、⑤を満たすことができれば、満足の行く人生を送ることができる。
というものです。
言い方はあれかもしれませんが、単なる欲望から生きるための欲求へと、イド(エス)の捉え方が変わったと捉えられるかもしれませんね。
クライエント中心療法

人間には、自分自身を良くしたいと言う欲求があり。
それを支えるのがカウンセラーの役割であると、「治す専門家」ではなく「成長の伴走者」としての転換を唱えたのが、ロジャーズです。
人を中心に置いた心理療法で、「クライエント中心療法」または「パーソンセンタードアプローチ」と言われます。
カウンセラーが基礎的な態度として広く教えられている印象です。
クライエント中心療法において、一定期間満たされる必要がある条件に以下があります。
①二人の人が心理的に接触している
②クライエントの状態が、不一致・傷つきやすい・不安、である
③カウンセラーはこの関係の中で一致ないし統合されている(純粋性)
④カウンセラーはクライエントに対する無条件の積極的関心を体験している(受容)
⑤カウンセラーは共感的理解を体験していて、クライエントに伝えようとしている
⑥クライエントに対するカウンセラーの共感的理解や無条件の積極的関心の伝達が最低限達成されている。
特に、③④⑤は中核条件とされていて、カウンセラーに必要な態度として伝えられています。
③は自分の考えにも相手の考えにも影響をされないというもの。
④は相手の感じるように自分も感じるという態度。
⑤は関わりとして④を示す方法。
という感じです。
この考えを元に、グループ療法である「エンカウンター・グループ」が実施されたり。
クライエントの語りを「今、ここ」に向けさせ、「フェルトセンス」に触れながら語る「フォーカシング」へと発展していきます。
このように、人間性心理学では、クライエントが自分の欲求に正しく向き合い。
クライエントが良いと思える方向に進む手助けをする手法として、研究が進められています。
クライエントが必要とすることを判断する材料

臨床心理学の源流となる2つの理論ですが。
精神分析は、過去に焦点をあて、自分を掘り下げることで問題を見つめます。
人間性心理学は、今に焦点をあて、前を向けるようにします。
つまり、どちらも必要な視点であり、臨床の現場ではどちらが必要かを見極めなければなりません。
私も自分の成長のために、過去を振り返ることもあれば、今の状態から先に目を向けることもあります。
自分の状態に合わせて、2つの視点を取り入れてみることが、理解を深める助けになるかもしれませんね。
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はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!












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