人間関係の心理学‐社会的認知と影響|心理学検定 A領域(社会・感情・性格)
人間は社会的動物と言われています。
個人の行動が社会に影響を与えるとともに、形成された文化や社会が個人の行動が影響を受けます。
心や行動が、社会的な広がりの中でどのように形つくられていくか。
そんな内容を扱う「社会心理学」を、心理学検定の内容に学んでいきます。
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なぜ「あの人」を誤解してしまうのか?
社会と関わる自分、つまり「自己」について考えてみます。
ジェームズは、自己を知る主体としての自己を「主我」、知られる客体としての自己を「客我」とわけて考えました。
「客我」をさらに「物質的自己」「社会的自己」「精神的自己」に区分し。
「社会的自己」を、他者を見るように自分を見た姿で、そのイメージに基づいて自己のイメージを形成するとしました。
また、ミードは自己は他者とのかかわりの中で発達し、他者の態度を組織化されたセットとして自分の中に取り入れているとします。
ジェームズとミードの考えは、どちらも他者を通して自己を作り上げていくとしています。
これは、私達は他者に見られたい姿をイメージし、それを表現しますが。
それを「自己呈示」と言います。
自己呈示を行い、社会に受け入れられることで「自尊心」を維持することに繋がります。
また、「自己開示」により対人関係を深めるといった行動もとります。
私達は、他者からどう見られているか、どう思われたいかを考えながら行動してしまうのではないでしょうか。
そのようにして、社会の一員としての自己を作り上げ、対人との関係を深める行動を取ります。
逆に、他者をどう見るかについては、アッシェは「印象形成研究」により。
他者についての情報から、イメージを作り上げる過程を探求しました。
人の印象の全体像が重要で、それを「中心特性」と呼び、他の特性である「周辺特性」を説明するものと考えました。
その中でも、容姿などの一つの美点をもとに、他の性格特性やその人の幸福度なども高く推定される効果を「ハロー特性」と呼んでいます。
このように、私達は他者にどう見られたいかというイメージと、他者がどのようなイメージで見るかによって対人関係を形成しています。
このイメージ形成は、行動の原因を推測することによって、相手の特性を評価することで行われます。
この過程を「原因帰属」といい。
普段、私達が相手の行動に対し、「なんでその行動をしたのか?」と考えている過程のことです。
相手の行動を評価する時に起きやすいのが、「根本的な帰属のエラー」です。
例えば、相手からひどいことを言われた場合、「あの人は短気な人だから」と考えるとします。
しかし、実際には締め切りが近くて急いでいたため、つい感情的になってしまっただけかもしれません。
このように、状況要因よりも性格に原因があると考えてしまうという傾向ですが。
思い当たるフシがあるものですね。
このような認知バイアスにより、相手への誤解が誤解生まれる可能性があります。
色眼鏡と「助ける」心理
相手に対してとある評価をすると、その人が所属する集団に対してもその評価を適用してしまうという認知もあります。
このような理由で集団に対して持つ、典型的・画一的で単純なイメージを「ステレオタイプ」と言います。
「ステレオタイプ」という言葉に、ネガティブなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
それもそのはずで、「ステレオタイプ」を元に判断や推測されると、誤ったイメージをもたれやすいからです。
また、歴史の学習をしている時に、差別や偏見の元となる言葉として使われることもあるでしょう。
しかし、「ステレオタイプ」は社会や文化の影響を元に、私たちに対し無意識の内に影響を受けてしまい。
認知の歪みではなく、普通であったり、当然であると知らず知らずのうちに考えてしまっている可能性があるのです。
これも、良く考えてみると、経験しているかもしれませんね。
テキストに書かれている、「黒人は運動神経が良い」や「関西人はおもしろい」といった「ステレオタイプ」は思ったことがあると思います。
黒人の方や、関西人の方でも、これに当てはまらない方はいます。
しかし、このような認知が役立つ場合もあり。
例えば「困っている人を助けるのは良い事」といったところでしょうか。
「電車やバスで老人がいたら、席を譲る方が良い」というような感じです。
揺れる車内で老人が立っていると、危険かもしれないので、安全のためにという手助けが目的です。
このように、援助を必要とする他者を助ける目的で行われる行動を「援助行動」といい。
「向社会的行動」の一つとされています。
私達は、社会に役立ちたいという思いを持っていて、それを行動に表すことが「向社会的行動」です。
例で上げたような、状況でも「他の人が席を譲るだろうから・・・」と思う人もいるでしょう。
そのような研究を行ったのが、ラタネで「傍観者効果」を呈示しました。
電車やバスでは、自分以外にも座っている人がいます。
その座っている人の分、席を譲るという「責任の分散」が起こり、「援助行動」が阻害されてしまうとします。
私達は、集団をこのように判断し、それをもとに行動を起こしています。
「場」が人を動かす
私達は、手段を「こういう集団だ」と判断すると同時に、何らかの集団に所属します。
そのように形成された社会の中で、他者に影響を与えたり、与えられたりしながら生活を営んでいます。
その影響を社会的影響といいますが。
それを元に自分の意志や行動を決定しています。
アッシュは集団の中での多数派の行動に影響を受けやすいことを、「同調実験」で示しました。
もちろん、少数派が団結し、多数派の意見を変えさせる動きもあり。
これを「マイノリティ・インフルエンス」といい、研究が進められています。
ただ、民主主義の多数決の原理と一致していることもあるので。
多数派の行動に影響を受けるのが、合理的な判断とされるのも頷けます。
レヴィンは小集団の行動や法則、パフォーマンスに焦点を当てた「グループダイナミクス(集団力学)」の研究を行い。
集団単位でのパフォーマンスや、集団の中での個人の行動に焦点を当てていて。
その比較として、意思決定の質の差があります。
優秀な個人を集めて下した決定が、個人での決定よりも劣るという「集団浅慮」や。
極端な方向に偏る「集団成極化」がおこります。
このように、私達は自分の意志で決めているようでも、集団に所属することによってその決定に従った行動をとりやすい傾向があるのです。
このような傾向があるということを知るだけでも、大切な判断を下す時に冷静になる助けにできますね。
文化の影響
「文化心理学」は、ある特定の文化に影響を受けたと呼べる幅広い人間の行動を扱う分野です。
ヴントの「民族心理学」が始まりの分野とされています。
文化間の対比を行い、集団感の際立った特徴の違いを協調する分野を「比較文化心理学」といい。
東洋と西洋の人々の違いが研究されてきました。
現在ではマーカスと北山忍による「文化的自己観」の位置づけの違いによって文化差を説明しようとしています。
西洋と東洋という枠組みは同じなようですが。
西洋の他者から分離して、自己の独自性を主張する「相互独立的自己観」。
東洋の他者と切り離すことができず、その関係によって自己が変化する「相互協調的自己観」。
個人観で、この2つのどちらの自己観が優勢かで文化差が生じるとしています。
個人主義的な自己観や、空気を読むという集団的な自己観といった、個性と見ることができるものも。
文化の影響があると考えると、他国の人とのコミュニケーションのズレを客観的に見るきっかけになりますね。
文化の影響は少なくないと言えますが、あくまで傾向という視点も必要でしょう。
情報のもたらす影響
集団の決定は個人に影響を与えます。
個人と集団の決定に影響を及ぼす要素が情報です。
情報提供、拡散の役割を果たすマスコミの影響力に関する研究も行われてきました。
マスコミ報道によるの影響の大きさが、直接的で即効的な影響を持つという考え方を「強力効果論」といいます。
そして、報道の方法によって私達受け手は、重要度の差を感じ取ります。
これは「議題設定理論」と言われています。
情報の分量や紙面上の位置、報道順などが報道順に当たりますが、このようなメディアが提示する枠組みの影響を「フレーミング効果」と呼ばれています。
他にも、選挙での世論形成の影響力についての「アナウンス効果」なども、マスコミの持つ力です。
しかし、近年ではSNSなどのソーシャルメディアが重視されるようになり、これらのメディアが持つ影響を「限定効果論」といいます。
好みの相手の情報を取り入れる「選択的接触」や、自分と同じ情報ばかり目にすることで考えや信念が強化される「エコーチェンバー現象」による、情報の偏りの懸念がされています。
これらの情報のによって、個々の人が集まることで感情的になり、理性を失ったような暴動を起こすことがあります。
多数の人が集まることで起きる特有の行動を「集合行動」といい。
暴力的な行動だけでなく、流言・パニック・流行現象・デモ・社会運動なども含まれています。
ソーシャルメディアなどで起こるネット炎上なども、集合行動の一部と言えるかもしれないそうです。
様々な情報で溢れている現代だからこそ、どのように取り入れるか、どのように扱うか。
そして、どのような力を持つのか。
社会や文化を形成するものなので、冷静に判断して収集していきたいものです。
個人と社会の相互作用であることを意識
実際のところ、社会心理学はこの量で済む範囲では無いでしょう。
テキストで学習していても、まずは言葉と流れを覚えるような印象でした。
しかし、基本的には冒頭の個人と社会の相互作用により、社会や文化は形作られていきます。
社会における問題などの摩擦も、このような文化形成の違いと捉えれば、構造の違いであることもわかります。
このような問題点を把握することで、対人関係の形成にも役立つ。
広くも狭くも、そんな分野なのかなと思いました。
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はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!