脳と身体を現代社会のストレスから解放する基礎知識

情報社会は目覚ましい発展を遂げていて、日常の生活から仕事に至るまで便利なモノが増えています。

便利で楽になるはずなのに、高ストレス社会とも言われています。

とあるYoutuberの精神科医の先生は、「今後心理学や精神医療の真価が発揮されるのではないか」とも言っていました。

情報に追われ、何かを消費していないと落ち着かないし、常に新しいものを取り入れないと行けない焦燥感がある。

モノは溢れているのに、満たされない感覚と漠然とした不安感が消えない。

日々このような状況にさらされ、気づかぬうちに疲弊し、ストレスを感じ。

「なんとなく調子が悪い」という状態になってしまっているかもしれません。

これまでに当ブログで扱って来た内容を元に、ストレスを「感情論」ではなく。

「脳の仕組み」や「現代の環境」から、どのように最適化していけるのかについて書いて行きます。

ざっくりとしたこの記事の概要です

私たちの脳は、1万年前のまま

ストレスは感情によって起こり、感情は脳から発生します。

まずは、その脳の仕組みから見直しましょう。

現代の生活は安全で快適なものであることに間違いはありません。

十分かどうかは別として。

今の日本で、食べることで困ったり、安心して眠れる家が無いという場合は少ないでしょう。

そのように社会も環境も、人類の歴史からすると急激に発展してきました。

しかし、人間の脳の仕組み自体は1万年前からほとんど変わっていません。

精神科医のアンデシュ・ハンセン氏の著書「メンタル脳」によれば。

現代社会で直面するストレスを、「生命の危機」として扱ってしまいます。

仕事のプレッシャーやSNSでの他者との比較、将来への不安といったものが、そのように判断されるのです。

この反応により、緊張や不安といったストレスとなる感情が発生し。

大脳新皮質や大脳辺縁系に反応し、視床下部を通じて胃痛や動悸などの身体反応となって現れます

これがメンタルヘルス不調となり、生産性を高めるために発展してきた情報技術が。

逆に、生産性を落としかねないツールにもなってしまっているのです。

それも私達個人の責任というよりも、私達人間に備わっている脳の防衛機能が反応してしまっているといえます。

欲求の無限ループ

ストレスの原因から離れれば、脳の防衛機能が反応しなくなるのではないか?

そのとおりですが、難しいのも事実です。

情報技術の発達により、脳が「快楽」と感じるものをいつでもどこでも無制限に提供することが可能となり、それを「なくてはならないもの」と印象付けているのです。

・スマートフォンに届く様々なアプリからの通知
・SNSなどで主に搭載されるスクロールの機能
・次々と配信される動画コンテンツ

現在では当たり前の機能や状態と言われているものに、私達の脳は「快楽」を感じているのです。

そして、この「快楽」を得られない状態を「苦痛」と捉えるのも私達の脳なのです。

依存症医学の専門家であるアンナ・レンブケ氏の著書「ドーパミン脳」では、この「快楽」と「苦痛」の関係を「シーソー」で表しています。

脳の神経物質であるドーパミンは、快楽物質と言われていますが。

快楽というよりも、快楽を手に入れるための動機、つまり「欲求」に働くとされています。

「快楽」を手に入れると、シーソーは「快楽」側に傾きます。

脳はバランスを取るために、「苦痛」の方へ重りをのせ。

もっと大きな「快楽」に繋がる刺激が欲しくなります。

この「もっと大きな」という欲求により、小さな傷によって受ける苦痛も大きく感じるようになってしまっています。

脳の仕組み自体が現代の「普通」の状態を、ストレスフルな状態にしてしまっているという事実があるのです。

情報過多はIT社会特有のストレス要因

情報社会では、情報が価値を持ちます。

その結果、情報が溢れ。

脳の処理能力を超えているという話を聞いた事があるかもしれません。

私達自身では何が必要な情報かを判断することが難しい状態となってしまったため。

私達にとって必要そうな情報を届けるというのが、サービスの主流となっています。

スマホの通知などで、「オススメ」は際限なく流れてきます。

私達は無意識でも情報に価値があると感じているので、その通知に反応します。

つまり、常に情報を処理し続けている状態となります。

これによって何が起こるかと言うと、自律神経系、特に交感神経が常に興奮している状態となります。

私達の防衛反応として、脅威に直面した時に「闘争か逃走か」という緊急行動を取るためのものがあります。

この時の体の状態が、血糖値を上げ、消化や排泄を後回しにし、眠りを浅くするというもの。

「闘争」するのにも「逃走」するのにも、身体を動かすために必要な血糖値を上げ、不要な生体活動や休息というものを抑制するのです。

これが交感神経の興奮によって起こるわけですが。

現代病や生活習慣病の原因になっているものなのです。

つまり、常に緊急事態であると脳が反応してしまい。

自律神経のバランスが乱れることで、動機・胃痛・不眠といったストレスによる身体症状が出てしまい。

心も身体も・・・という状態になってしまうわけです。

「自分自身」の理想との比較も簡単に

SNSなどのWEBメディアの発展により問題とされるのは、他者からの影響やコミュニケーションが取り上げられることが多いです。

しかし、理想が身近なものになることの弊害も含んでいます。

テレビや新聞、ラジオなどのメディアでは、情報を発信できるのは一部の有名人だけでした。

そのため、「憧れ」という側面が強く、現実的ではないと何処かで感じることができていました。

しかし、現在のソーシャルメディアでは、私達の身近な人や共感できる人も情報を発信でき。

プラットフォーマーはそのような発信を推し進めている状態であるとも言えます。

私達の「憧れ」が急に現実味を帯びて近づいて来たのが、今のメディアの一つの姿であるとも言えます。

つまり将来なりたい理想の自分を、他者の姿を通してSNS上で目にしてしまうわけです。

その理想の自分と現実の自分を比較することが、将来の不安に繋がっていると。

アンナ・レンブケ氏は「ドーパミン中毒」で書いています。

「特に理由はないけど、なんだか不安」という状態の原因がここにあり。

今の自分の問題の解決ではなく、分かるはずのない未来の問題に目を向けてしまいやすい。

そのような状態があるのも現代なのです。

ストレスを制御するには「今」に集中すること

ここまで、私達の脳がストレスをどのように感じ、反応するのかを書いてきました。

書けば書くほど、どうしようも無い気がしますが・・・

問題の原因としては、情報や技術との向き合い方にあると言えます。

「自分自身が」というよりも、私達の元にやってくる「情報が」私達を振り回すことで、大きなストレスとなっている。

そのように言えるのでは無いでしょうか?

自分自身ではなく情報に目を向けてしまう状態。

それにより、欲求が刺激され、苦痛を感じ、興奮状態にさせられ、視点をずらされ問題を見失ってしまう。

この状態になることが、問題を引き起こしているわけです。

つまり、「今」自分に無いものをねだる状態になりやすいので、「今」に目を向け自分を見失わないことが大切です。

徹底的に自分自身に正直であること

「今」に集中する1つ目の方法は、「自分自身に対して正直であること」です。

正直というと、相手がいて嘘をつかない事であると考えるかもしれません。

しかし、私たちは普段から「自分に言い訳」をしてしまう時があります。

ダイエットの時の「今日ぐらい・・・」は・・・私が良くやる言い訳です。

この言い訳の中には、「私は本来我慢できる!」とか「明日から我慢できる!」といった自分に対する過剰な評価が含まれます。

その後、ズルズルと・・・でもとに戻る。・・・のが私です。

この守れない弱い自分を受け入れることが、「自分自身に対して正直であること」です。

自分自身の弱さを正直に受け入れることは、対策を考えることができるということです。

我慢できなさそうだったら、筋トレをする。

カップ麺を手に持っていたら、家族に声をかけてもらうようにお願いする。

「今」自分が何をすべきか、「今」の問題は何か。

それに引き戻してくれるものが、「徹底的に自分自身に正直である」ことなのです。

時間軸を「今」にリセットする

漠然とした不安の原因に、「未来」への不安があると書きました。

しかし、「未来」は誰にも分かりません。自分自身にもです。

横断歩道を渡ったら事故に合うでしょうか?

分かりません。

わからないので、左右を見て安全確認をしてから渡ります。

「横断歩道を渡ったら事故に合う」かもというのが、「未来」への不安です。

それよりも、「安全に横断歩道を渡る」という「今」に集中する方が、よっぽど現実的なのではないでしょうか?

つまり、「今」自分にできること、できないことに注意を向け、受け入れることが大切です。

この「今」の集中に「ドーパミン」のシーソーを利用しましょう。

「今」の自分を成長させること、改善させること、できたこと。

こういったものに「快楽」を感じ、原動力にするということです。

マインドフルネスは「今」に集中することを実践するので、実践するとより効果的です。

フィジカル・ハック

ストレスによる身体の反応は、自然に起きてしまうものです。

「今」に集中することができても、ストレスを低減する程度かもしれません。

なので、脳が危険だと感じない状態にする取り組みにも効果があります。

メンタル不調を抱える人に進められるものの一つに、運動の習慣があります。

ストレス反応である血糖値の上昇は、心拍数の増加をもたらします。

これが動悸ですね。

運動によって身体を動かすことでも、心拍数は上がります。

つまり、「心拍数が上がること=危険」ではない、と脳に教えてあげる効果が運動にはあります。

汗を流すことでの爽快感もストレス解消になりますしね。

とはいえ、脳が常に働いている状態であることが問題であることに変わりはありません。

つまり、脳をしっかりと休ませることも重要です。

そうすれば自律神経のバランスも整えられ、正常な状態に向かっていきます。

良い睡眠をとり、身体に良い食事を取ると言った、生活習慣の改善もそうですし。

「今」に集中するということにもつながりますが、情報からも距離を取る、主体的に選ぶことも大切です。

ここらへんは、「メンタル脳」「自律神経の科学」の記事をお読みいただければと。

「今」を大切に

現代病やメンタルヘルス不調といったものは、現代社会と進化していない脳のギャップから生じているとされています。

そのために、思考や感情、行動から脳に働きかけ、ストレスの少ない生活を送ることが大切とされています。

「今」の自分に集中し、整えることが。

ストレスの多い現代を元気に過ごすための要素です。

どんなに社会や技術が変わっても、私達人間にとって「良い」とされるものは変わりません。

マインド的なことが多くなりましたが、この記事に書いた心掛けを実行することが、本当の意味で「自分らしく生きる」ことに繋がります。

元にした記事はこちらです。

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もしあれば、どんなことでも構いませんので、コメントを残していただくか、問い合わせフォームよりご連絡ください。

著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!