脳と感情の仕組み

メンタルヘルス対策や心理学の学習を進めると、脳と感情の仕組みについて学ぶことになります。

また、興味を惹かれた本の内容でも、脳と感情の関係について触れられていることが多いです。

なので、基本的な部分だけを簡単にまとめておこうと思いました。

情動と脳の階層構造

感情に近い意味で使われる言葉に「情動」があります。

この言葉は単なる感情を表すだけでなく、生理的な反応を伴う感情を意味します。

メンタルヘルス対策や心理学において、観察し注目するの情動、つまり身体的な反応とその原因となっている感情です。

五感など外部からの刺激となる情報を、脳が受け取り。

それを脳の各部位に伝えられることで、感情が起こると共に。

自律神経・運動神経・内分泌系の活動が促され、身体反応に出ます。

この一連の流れを行っている脳の部位はおおまかに。

大脳新皮質⇔大脳辺縁系
↑↓
視床下部

脳幹

という階層構造で情報のやり取りを行い、段階的に機能がコントロールされているそうです。

大脳新皮質と大脳辺縁系

外部からの情報は、大脳新皮質に送られると共に大脳辺縁系にある扁桃体にも送られます。

大脳新皮質は大脳辺縁系の各部に情報を送る役割を持つと共に、大脳辺縁系からの情報を受取る役割もあります。

この情報のやり取りにより、複雑な情動が形成され。

それが視床下部に伝えられることによって、身体に反応がでるようになります。

大脳辺縁系が「こころ」を作る

感情は大脳辺縁系で生まれるとされています。

そのため、情動脳とも言われ。

視床下部を制御する働きがあります。

大脳辺縁系は、

・記憶や学習に関係する「海馬」
・情動学習の中枢である「扁桃体」
・行動の自発性に関わる「前頭連合野」

があります。

情動に強く関わるのが、扁桃体。

受け取った情報に対して「好き(快)」か「嫌い(不快)」を判断し。

それに合わせて、報酬系か嫌悪系のどちらかを活性化し、交感神経の活動を促し、副交感神経の活動を抑えるなどの働きにより、情動行動を促します。

この「快」と「不快」の判断には、過去の体験や記憶が関係し、特に「恐れ」に強く反応するそうです。

これらの体験や記憶は、長期記憶として大脳皮質に蓄えられたものを、前頭葉が呼び出します。

その大脳新皮質に記憶として蓄えるための準備を行うとされているのが、大脳辺縁系にある海馬です。

記憶と勉強の記事で書いた通り、脳は重要ではないと判断した記憶を忘れるようにできています。

海馬では、そのような忘れられる可能性がある「短期記憶」を「長期記憶」に変換し、大脳新皮質に伝えているのです。

なので、情動の中枢である扁桃体と連携し、外部からの刺激による情動の体験や経験を学習している部位といえるかもしれません。

このようにして、過去の体験が感情的な反応に関係しています。

視床下部

情動の「動」の方とも言えるでしょうか。

扁桃体から伝えられた情報を受け取り、自律神経・運動神経・内分泌系に働きかけ。

・生体反応
・防衛反応
・情動
・本能行動
・恒常性維持(ホメオスタシス)

といった、情動が身体に現れる仕組みとなるのが、視床下部です。

視床下部の外側は「快」に反応し、報酬系を活性化させます。この部位は本能に関係する部位と重なっているようです。

内側は「不快」に反応し、嫌悪系を活性化させます。

ストレスによるメンタルヘルス不調などによる、胃痛や動悸といった身体症状が現れるのは、視床下部の働きです。

視床下部から出た司令が、脳幹を通り各身体機能に作用します。

こうして自律神経が内蔵機能に作用し、嫌なことが起こると胸のあたりが苦しくなったり。

嬉しいことが起こると暖かくなったりと、「こころ」が胸にあるという印象を私達が持つような働きとなるわけです。

生存確率を高めるためのメカニズム

少し簡単ですが、感情に関わる脳の機能に絞ってまとめてみました。

様々なところで目にする脳の部位だと思うので、その基本的な働きを把握しておけば。

別のテーマで扱われていたときも、理解しやすくなると思います。

調べている時に印象的だったのが、これが「生存確率」を上げるためのメカニズムであり。

直感的に「好き」な方を選ぶことが、脳の機能からみた自然な行動であることです。

もちろん、論理的に考えて行動することも大事ですが。

私達の脳は、本能的に自分にとっての良い行動を嗅ぎ分ける力が元々備わっているのでしょう。

あまり難しく考えすぎず、直感的に行動するのも脳に良いのかもしれませんね。

参考(順不同):
自律神経の科学(著:鈴木郁子)
睡眠の科学(著:櫻井武)

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著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!