AI時代のSEO対策の現状‐AIが理解できる構造の先にいるのは読者

生成AIを検索エンジンが利用するようになってから、GEOやLLMOという言葉がSEO業界で踊っております。

このブログでも定期的に扱っています。

GoogleのAIモードの提供開始や、OpenAIのブラウザなど。

まだまだ騒がしそうですかねぇ。

検索結果の要約をAIが表示するようになり、AIに選んでもらうためのサイト作りが必要であると。

そう言われてるわけです。

Googleなどの検索エンジンにコンテンツを登録するという流れは当分変わらないでしょうし。

現状、参考にする情報源としての量は圧倒的です。

そのため、SEO対策は変わらず必要です。

が、AIを踏まえた場合のSEO対策とはどういうものか?

少し考えて行きます。

AIに「面白い」はない

生成AIは普段の話し言葉のようにやり取りできるので、私達人間のように「感じている」という錯覚を起こしやすいと思います。

現に、テレビ番組などでインタビューが取り上げられると、「友達感覚」とか「自分のことを分かってくれる」のような言葉を聞きます。

実際には、キーボードや音声で入力されたワードを分解し、その返答として確率の高いワードを推測して次々と出力しているにすぎません。

人間が受け入れやすいような言葉選びに調整されているとはいえ、チャットの内容を「理解」しているわけではないのです。

これはSEOについても同じで、検索されたクエリの意味を理解して、それに沿ったWEBサイトを選別し要約しているわけではありません。

クエリとして入力されたワードと関連性が高いと思われるWEBサイトを「構造」で把握し、選別しています。

その「構造」でコンテンツを作成するのが、AIOやGEOやLLMOの基本とされています。

・結論を冒頭に書く
・構造化マークアップでコンテンツを構成する
・1段落で1テーマを完結させる

おもにこんな感じですが、これは従来のSEO対策でもユーザー目線で作るべきコンテンツの書き方とされていました。

つまり、従来のSEO対策を忠実に守ることが、AI時代のSEO対策に繋がるということです。

検索クエリの先にいる読者を想定し、理解しやすく読みやすい内容のコンテンツを作成すること。

これはそのまま、構造でコンテンツを把握するAIも「理解」しやすいということです。

なので、WEBコンテンツとしては基本を守ることが重要となりますが。

「AIのためにコンテンツを作ってるんじゃない!読者のために作ってるんだ!」

と思うと、あんまり守る意味を感じないかもしれません。

しかし、現実的にAIが検索と検索者を動かすようになっているのです。

AIは「推薦」で経済を動かす

なるほどなと思ったのが、Web担当者Forumさんで取り上げられていたLinkedinの投稿です。

先程書いた通り、実感があるかないかにかかわらず、AIは私たちの生活の中に入り込み。

今まではできなかったような体験を、提供するようになっています。

「自分を理解してくれている」とか「自分に話しかけてくれている」というような感覚をSEO対策に当てはめてみると。

検索ワードから情報を推測し、チャットのやり取りにより精度を高めることができる、「パーソナライズされた高機能フィルター」というのが、AIのWEB検索における役割となるでしょう。

Googleやfacebookなどよりユーザーが必要とする情報を提供するために、行動履歴などのユーザーデータを収集して便利なサービスを提供してくれていましたが。

それが、問題とされるようになったのはここ数年の話です。

ユーザーデータの大切さは未だに変わりませんが、使わずとも生成AIとのやり取りによって自分の要望をプロンプトに起こすことで、近いものが可能となるわけです。

Web担当者Forumさんの記事の中では。

AIと購買に関する情報収集のやり取りで80%以上AIを利用した場合、85.9%が購入に至り。

AIユーザーの46.4%は、そのやり取りのみで購入を決定し、直接ECサイトや公式サイトへアクセスしているそうです。

つまり、AIが作成したコンテンツの内容を把握し、それをユーザーに推薦してもらうことが、結果的にアクセスとコンバージョンに繋がるということです。

これは購入に限らず、情報減でも同じことが言えます。

AIは要約したり、考えを深めたりというのに使える有効なツールです。

しかし、実際に裏付けとなる情報として利用する場合、「AIが生成したから」というのはまだ信頼性が薄いでしょう。

また、より詳しく知りたいと思ったら、参照されたページを読みたいと思うのではないでしょうか。

AIが内容を理解できるようにコンテンツを作成することで。

・結果的に売上に繋がる
・コンテンツを本当に求めている質の高いアクセスを得ることができる

このような効果があると言えます。

つまり「ユーザーにパーソナライズされた高機能フィルター」という役割が、SEO対策におけるAIの役割なんだと考えています。

ユーザーと検索エンジンの間にAIが入り込み。

AIがユーザーの入力に従って、好み・履歴・質問などを理解し、どの情報を提供するかを選択・推薦しているのです。

AIが意思決定に作用しているだけでなく、経済にも関係していると言えなくもありませんね。

AIが「読みやすい」構造

では、AIが構造を理解しやすいものとはどんなものでしょうか?

先程上げたのはページ構造としての「読みやすさ」でしたが。

コンテンツや段落として設計したいのは、構造化+明確化+再利用性です。

良く言われているのは、

・表やリストによる情報の整理
・FAQやQ&A形式の質問に答えるコンテンツ
・段落で扱われるテーマが単独で理解できる状態

というものです。

AIは膨大なWEBページの中からクエリに関連する情報を精査します。

その内容を要約したり、部分的に引用したりして、出力を作成してくれます。

なので、「WEBページ内のどこに、どんな情報が、どこまであるか?」ということをわかりやすくすることが、AIの「読みやすさ」に繋がると考えられます。

また、AIも把握できる情報量に限界はあるため、「段落単位で単独で理解できる」状態というのが望ましいとされるわけです。

この構造は、私達が実際に読むときにでもわかりやすいものです。

・表やリストになっていれば、一目で対応や比較を行う事ができます。
・FAQやQ&Aを読むことで、疑問点やトラブルに対処する適切な知りたい情報を簡潔に知ることができます。
・段落ごとにテーマが完結していれば、納得感を持って読み進めることができます。

つまり、AIにとって「読みやすい」構造は、人間にとっても「読みやすい」構造であると言えます。

AI時代のSEO対策も、結局は画面の向こうにいるユーザーのための行動や計画が重要である。

そういうことですね。

といっても、AIにとってわかりやすいのはマークアップ言語なので、テクニカルな対応も必要です。

ブランド認知も必要

生成AIの普及と共に、「ブランド化する」といった言葉をよく聞くようになった印象があります。

このブログでも、ブランドについて一連の記事を投稿したこともあります。

ざっくりと、「〇〇といえば〜」の想起集合に入るための戦略ということですが。

これが、AI時代のSEO対策にも求められます。

今までは外部サイトからリンクされれば、芋づる式にアクセスを見込むことができましたし。

検索エンジンも、そのようなリンクの質と量によって、サイトを評価するということもありました。

しかし、様々なWEBコンテンツからテキスト情報を集め提供するAIにとっては、リンクの数よりも取り上げられている数の方が重要であると言えます。

ポジティブな内容で取り上げられることが多いコンテンツ=権威性が認められる

という図式が成り立ちます。

実際、流行や話題のものについて興味を持つことはありますし、それを扱う人によって信用するということはあります。

ポジティブな内容で取り上げる人が多いほど、信用性が増すもので。

これが、口コミだったりレビューだったりするわけですね。

サービスの利用や商品の購入を考える場合に、参考にしたり☆の数を気にするのも、これに当たります。

そのような効果が認められ、拡散性が高いのがSNSです。

検索結果をみてもそうですが、SNSの場合ではアカウント毎に検索ランキングに表示されます。

つまり、個別のコンテンツとして扱われる=言及数が多い、ということになり。

取り上げられたサービスや商品の情報としての、信頼性の高さを証明するということになるわけです。

そのためには、コンテンツ制作者自身も積極的にSNSなどを活用した発信を行い。

関連するコミュニティに積極的に関わるなどの、マーケティング行動がより重要となります。

従来のSEO対策で重要な指標である「E-E-A-T」を踏まえたコンテンツを作りつつ。

ユーザーとの接点を大事にすることも、AI時代のSEO対策です。

人にとって「面白く」AIにとって「信頼できる」コンテンツを作る

ということで、AI時代のSEO対策は。

これまで効果があると言われていた、ユーザー目線のコンテンツ設計を確実に実施し。

ユーザーとの関係構築に時間を使う。

ということになってきます。

AIが推薦してくれても、ユーザーがアクセスした時に「面白く」なければ、結果にはつながりません。

ユーザーにとっては「面白く」ても、AIが読みにくければ、推薦される可能性は低いでしょう。

もっとも、多くのユーザーが「面白く」感じ、ポジティブな言及が多ければ、可能性はゼロではありませんが。

その分、ユーザーとの関係構築に時間をかける必要はあるでしょう。

この時間を作り出すのにもAIを使えるのが面白いなぁと思ったりする今日このごろです。

参考:
生成AIトラフィック、実は低CVR? LLMによる購入決定の効果測定はまだ厳しいか【SEO情報まとめ】
中国のSEOカンファレンスで見えた、AI時代を勝ち抜くためのSEO戦術
“LLMO/GEOやAI時代のライティング"は、結局「基本のライティング技法」にすぎない
成果につながらないオウンドメディア運営からの脱却:よくある失敗と解決策

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著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!