「見えない長時間労働」から考えるチームのあり方

気になった情報を毎週深堀りすることが習慣になってきました。

このブログのおかげです。

Qiitaで見かけた記事ですが、ちゃんと考えないといけない内容ではないかと。

ざっくりと内容を書くと、「自主的に休みの日に仕事をするのはどうなの?それで体調を崩したら意味ないでしょ?」というものなんですがー。

冷静に考えると、自主的に無給で長時間労働を行っていることになり。

タイムカードなどの勤務記録に現れない、「見えない」時間外労働が発生していることになります。

メンタルヘルスの職場対策について学んでいると、これは見過ごせないことだなぁと。

この記事を書き始めた次第です。

周囲への影響

見過ごせない「コト」ではなく、「問題」と書きそうになったんですが。

問題は問題なんですが、問題と書きにくいコトなのです。

というのも、会社から依頼されたわけでもなく、休みの日に仕事をするのは本人の自由なところもあります。

休みの時間をどう使うかは自分の自由で、仕事に選んだというだけです。

私もどちらかというと、休みや勤務時間外に会社の仕事をしてしまう側です。

仕事を好きでやっているという感覚なので、やらされているとかしょうがないというものはなく。

翌日や翌週の自分を楽にするための仕込みのような感覚の方が近いです。

このように、自主的に「好きでやっている」「負荷を感じない」のであれば、仕事をする本人にとっては悪いことというよりも、良いことのようにも捉えられます。

しかし、それが同じ職場で「休みはしっかり休みたい」とか「家族サービスに時間を使いたいから仕事したくない」という価値観の人に対するプレッシャーになる場合もあります。

業務外の時間を使うことで、少なくとも仕事に対する何かしらの能力は向上します。

それで成果が出て上司に評価されると、「自分も同じように頑張らないといけないのかなぁ」とか。

「休むのも仕事だけど、少し仕事のことを考える時間を取ろうかな」とか。

そう思わせてしまうかもしれません。

私のような仕事が趣味のようになっている人間にそういった感覚はありませんが。

傍目から見ると会社に尽くしているように見える善意の努力は、一緒に働く人の休む時間を奪い自働きにくい環境としてしまう可能性があるのです。

評価構造に潜むバイアス

上司の評価が絡むことを書きましたが。

目に見えるもの、つまり視覚情報の影響はかなり大きなものです。

これはこの問題にも当てはまり。

長く働く人に「熱心」であるとか「責任感がある」という評価をする上司は一定数いると思います。

テレワークが普及したので一概には言えませんが、良くも悪くも目に見える形で取り組んでいる人に対して印象は少なからず良くなるのは変わらないような気がします。

休みに仕事をするなどの場合、成績や成果物という、これまた目に見える形で見えてしまうわけです。

DXなど業務の効率化が求められている中で、非効率な方法によって出しているとしてもです。

で、会社に許可されているツールを活用して短時間で業務をこなし、しっかり休んでいる人が不利になる可能性もあるわけです。

勤務時間内に決められた業務を終え、成果に加え、このような姿勢の部分が見えないと良い評価に繋がりにくいという状況はありえます。

なので、会社としての評価体制も見直す方が良いんですが、それはまた別の話なので。

人間は社会的な動物なので、仕事に対する承認の欲求を持っていますし、所属の欲求も持っています。

評価されるのがどのような人か分かると、その行動を見習う人もいるかもしれません。

つまり、職場全体でしっかりと休むことができないような空気ができてしまうのです。

沈黙の同調圧力

「休めない空気」が生まれてしまい、「休んでいない」人が評価されると。

そのうち、大量の業務を抱えていても「無理です」「手一杯です」といったことも言いにくくなります。

正確に遂行できない可能性もある中で、無理にその仕事を受けることになってしまい。

業務がスケジュール通りに進まないだけでなく、無理をした人が離脱してしまい他業務を行う人達の負荷を上げざるを得なくなり。

結果的に生産性が落ちてしまうでしょう。

そのようなことを言えなくなることがきっかけで、チームとしての心理的安全性が下がり。

業務に対する活発な意見交換もしづらくなってしまうでしょう。

心理的安全性については別記事でまとめてあるので、よろしければどうぞ。

ただ単に、「業務の円滑化のために」とか「他の大切な案件のために」とか。

決して動機が悪いものが原因となっていない分。

じわじわと心理的安全性が下がっていき、気がついたら疲弊したチームとなってしまう可能性があります。

「それは個人の問題」という意見もあるかもしれませんが。

先程も書いた通り、社会的な動物である人間は、100%割り切るのは難しいとも思います。

そもそも、認められていない時間外労働なんだからと考えて自分では納得できても。

なんとなく抱いてしまう不公平感は消えないでしょう。

このような空気感が知らずにできてしまう可能性があるのが、見えない長時間労働の問題でもあります。

見えない長時間労働の問題

同列で書いてしまった気もするので、一旦整理しておきます。

見えない長時間労働には、3つの問題があります。

①能力や実力を誤って評価してしまう可能性がある
②チームの心理的安全性を損なう可能性がある
③本人が結果的に休めておらず、問題を抱える可能性がある

②を中心に書いたので、①と③について補足します。

例えば、勤務時間内で成果が出ていると錯覚することになってしまい、起用したものの思うような成果が出ないという状況が①です。

休みの日に仕事をしたり、仕事の日も終業後に仕事をしたりと、勤務時間以上の時間を使って成果を出してきた場合。

業務量が増えると、必然的にそれらの時間が増えるでしょう。

そのため、任される仕事が増えたり、昇進して業務内容が変わると、成果が出ない状態になるかもしれません。

時間は平等に1日24時間しかないので、それ以上働くことはできません。

健康的にもできるものではありませんが、この流れは③にもつながります。

評価されているうちは良いかもしれませんが、評価されなくなると「やりたい」から「やらなければ」に変わってしまうかもしれません。

義務に変わってしまうと、それはストレスに変わりますし。

正当に評価されていないという、思い違いも生まれてしまいます。

義務に変わらないとしても、疲労をためてしまい、健康を害してしまうかもしれません。

また、評価だけではなく、ライフステージの変化により時間を思うように使えなくなることでも、同じような状態になる可能性もありますね。

これらの問題はどれも前向きな姿勢から出ていることが、なおさら難しい問題にしているともいえます。

ではどうするか?

と考えても、なかなかまとまらないのが正直なところですが。

思ったことを書いてみます。

まずは、評価軸を変えるコトですかね。

成果はもちろん大事ですが、プロセスも評価することです。

一人でやり切ることは大事ですが、チームとして働くので協力することも大事です。

労働契約で言えば、勤務時間は決められていて、時間外で働くのは上司の許可が必要です。

なので、時間内にどうすれば終わるのかという、チームとしての学びにつながる場合もあります。

一人でやりきった内容を、他のチーム員と協働することでよりよいものになったり、経験となりさらに難しいことにもチームとして取り組めるようになります。

今のAI時代においては、成果がAIにより一定となるため、プロセスが大事ともされつつあります。

そうすることで、チーム内にもコミュニケーションが生まれるでしょう。

その時に、仕事の捉え方や価値観を共有することも、この問題の解決につながると思います。

何よりも仕事を優先したい、オフを充実させたい、仕事よりも家族を優先したいなどなど。

様々な背景を持つ人が職場には集まっています。

そのような違いがありながらも、持っている能力を会社が必要とし発揮してもらいたいから、一緒に働くことになっているのです。

それぞれの考え方を受け入れ、理解する時間を作ることは大切でしょう。

結果的に、休むことに対する考え方が変わったり、助け合う仕組みができたり。

そのように、空気も変わっていくきっかけになるでしょう。

休むことはどんな人にも必要です。

次の成果につなげるために、しっかりと休むという意識は全員に必要です。

このように、まずはチームとしての仕組み作りが大切だと思います。

でも休みは何かしたい

と、残る問題は、休みに仕事をしていた人の休みの時間です。

仕事をしていた分、急に休めと言われても・・・と私なら思います。

なので、仕事以外のことをやる、に尽きると思います。

思いっきり寝る日があってもいいでしょうし。

趣味を探したり、没頭するのも良いでしょう。

読書にもリラックス効果はあります。

どうしても仕事と関連のあることであれば、資格勉強やツールの使い方など。

個人的な成長につながるものを選ぶのが良いと思います。

先程書いた「休みも成果を生み出すための準備」であるのであれば、道具を増やしておくのは良い休み方かもしれません。

もちろん、仕事の時と同じく義務感でやるとストレスになってしまうので注意です。

仕事に没頭しやすい今だからこそ

ネットワーク技術が進化したことで、いつでもどこでも仕事をしようと思えばできてしまう環境ができています。

その恩恵は多様な働き方の実現ですが。

背後には「見えない長時間労働」という、本人にも自覚のないものがあるのではないか。

そんなことから考え始めたのが本記事です。

なかなか難しい問題ではありますが、気の配り方や働きかけ方など、学べることが多いものでした。

これはチームや組織内だけでなく、取引先などの関係者においても念頭に置きたいことでもあるなと。

働き方を見直す一つのきっかけになるかもしれませんね。

このブログや記事の内容について、疑問に思っている事はありますか?

もしあれば、どんなことでも構いませんので、コメントを残していただくか、問い合わせフォームよりご連絡ください。

著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!