【読書記録】東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム(著者:山本 高穂 大野 智)
この記事を書いているのは、2025年の10月です。
30度超えの猛暑が続きましたが、ようやく秋らしさを感じる気候になってきています。
少し前から、気だるさを感じるようになり。
なんだか本調子じゃない日々を過ごしていました。
腸の調子がイマイチなのが原因のように感じ、市販薬を飲んでましたが微妙で。
体質を変える方向が良いのかなとか考えながら雑誌をめくっていたところ。
本書が紹介されていました。
体質からなら漢方かなと、素人ながらに考えていたこともあり。
まずは読んでみることにしました。
[itemlink post_id="1354″]
結構専門的な内容?
本書は講談社のブルーバックスというシリーズの本です。
私はこのシリーズを読むのは初めてなんですが。
「科学をあなたのポケットに」というコンセプトがあるみたいです。
なので、アマゾンや読書メーターなどでのレビューを見ると、専門的な内容や少し難しいといった感想が並んでますかね。
私はもちろん専門家ではありませんが。
脳科学や神経、発達についての本を数冊読んでいるので、細胞やホルモンの作用などもなんとなく把握することはできました。
前知識がないと、読み進めるのは難しいかもしれませんが。
図も豊富なので、なんとなくの理解でも読み進めることはできます。
本書は鍼灸治療や漢方薬がなぜ効くのか?を科学的な解明を目指す実験や研究を紹介し、そのメカニズムを解明してくれています。
なので、どのように身体に作用しているかを説明するために、科学的な説明は外せないというところでしょう。
正直、日本人なので東洋医学は身近なはずなんですが、怪しさを感じているのも本音です。
それを、現在信用を得いている西洋医学によって解明していくというものなので。
怪しさが払拭され、鍼灸治療や漢方薬の使用に前向きになれれば本書の目的は果たされているんだろうなと。
また、老化や認知症、再生医療への可能性など、先端医療への効果も期待できることも触れられているので。
ワクワクしないわけがないですね。
東洋医学は全身をみる
本書で紹介されている数々の研究成果によって、鍼灸治療や漢方薬の効果範囲の幅広さが明らかにされています。
・痛みへの対処
・急性症状(インフルエンザ等)への対処
・自律神経への作用
・細胞への作用
・ホルモンへの作用
自覚できるものから、体を整える作用まで・・・というか、細胞レベルはびっくりしました。
体を良くするものなので、構成している細胞に対して何らかの効果があるのは当然なのかもしれませんが。
このような効果の広さがあることで、不調の原因にピンポイントに作用するだけでなく、不調につながる部分にも作用するというのが、東洋医学のポイントかもしれません。
鍼灸治療で言えば、経絡などの全身の流れに対し、ツボを刺激することで離れた箇所の症状を緩和させるとか。
漢方も一つの生薬が様々な効果を持っているとか。
これは、東洋医学が「人をみる」ことを前提としていて、病気自体に対処するよりも、免疫力を高めて健康を維持するという考えによるものかもしれません。
「治未病=病気になってしまう前に養生をして、健康状態を維持する」に通じるものであり、東洋医学が大切にしてきた健康への向き合い方・・・
第2章 心とからだを整える鍼灸の最新科学 P.146
健康であるとはどういうことかというと、心身のバランスが取れていることでもあります。
東洋医学で大切とされている、「心身一如」や「気血水」という考え方にも表れています。
東洋医学の考え方のひとつに心身一如、つまり心と体は一体であるというものがあります。この考え方は現代の医学でも実証されつつあり、<中略>体の痛みについても心の痛み、つまり心理的なストレスが原因になることがわかっています。
第1章 鍼灸で「痛み」が和らぐのはなぜか P.77
東洋医学において気血水は、人の体を構成する基本的な要素として位置づけられています。人体が臓器、細胞、遺伝子などで構成されていると考える西洋医学とは少し様相が異なるのです。
第3章 漢方薬は体内で「なに」をしているのか P.150~153
西洋医学の人体の考え方と、東洋医学の人体の考え方が異なり。
病気自体を見て対処する西洋医学の考え方だけでは解消できない問題に対して、人自体を見る東洋医学のアプローチが注目され、その効果を科学的に実証することが進められているということです。
解明されることでの安心感
人が恐怖や不安を感じるのは、知らないことにたいしてです。
「なんで効くのかわからない」という東洋医学は、不安の対象であったとも言えます。
科学はそのような「なんで」に答えてきた分野で、それにより様々なことが解明され。
豊かで安心な社会を形作ってきました。
それが健康につながるものに対しても、向けられるようになり、解明されて行きている効果や作用について詳しく紹介されているのが本書です。
その検証方法についても解説されていますが。
様々な分析でも用いられている、ランダム化比較化試験や。
すでに実証された研究成果を比較検証する、システマティックレビューという手法が取り入れられています。
東洋医学の場合、研究の準備の難しさもあるので、様々な手法で効果を測定しています。
このように基礎研究を行うことには2つの意味があるといいます。
まず、医薬品の開発プロセスにおける土台の役割です。
<中略>医薬品が数多く開発されることにつながってくる<中略>新たな発見につなげる<中略>
別の視点として、メカニズムの解明そのものも重要な意味を持っています。<中略>基礎研究の結果は「なぜ効くのか?どのように効くのか?」を説明する際に用いられ、本書で紹介する臨床試験の結果は「どれくらい効くのか?」を説明する際に用いられるといった違いがあるわけです。
第4章 「人に効く」を科学する P.228~229
このような医療研究者たちの努力によって、私達は安心して医療を受けることができます。
私は専門家ではないので、本書で上げられている研究結果の内容をあえて引用していませんが。
・・・興味深すぎて、全部引用することにもなりそうなので・・・
ぜひ本書の内容を確認して、健康に日々を過ごすためのヒントにしてもらえたらと思います。
自分でも学びつつ
とはいえ、まだ未解明の部分もあり。不安を感じることがあるかもしれませんが。
日本において鍼灸医は国家資格ですし、医師も漢方について大学で学び、薬事承認されている漢方を処方しています。
なので、そのような信頼できる医療機関を利用することも、安心の一つだと思います。
また、東洋医学の考え方について学ぶことも安心の一つにつながるでしょう。
例えば、クラシエさんなどの身近な製薬会社も情報を分かりやすく提供してくれているので。
こういったサイトを利用していきましょう。
ストレス要因が増えている現代は、健康に対する影響にも不安を感じることがあるかもしれません。
そんな時だからこそ、「治未病」の考えを生活に取り入れ。
より健康的な生活を送れるようにしたいものです。
そのスタートに、本書を利用してみてください。
[itemlink post_id="1354″]