AIの利活用と人材育成について

先月くらいから、いろんなオンラインセミナーに参加するようになりました。

どこも話題の中心はAIですね。

そんな中、人材育成の話題があったので、少し触れてみようかと思います。

サービス業や販売業、営業など、様々な職種を経験してきましたが、育成に係ることも多かったので。

生成AIが普及することによって仕事が無くなるという不安がある中で、どのようなことを仕事にするべきなのか。

そんなことを考えてみます。

AIの進化による不安感

2023年にChatGPTが登場したときは衝撃でしたが。

それ以上に衝撃的な展開を見せいているAI技術です。

AIエージェントやMCPサーバーの登場により、実務にまで影響を及ぼす程の進化を見せています。

Qiitaなどのテック情報を見ていると、AIを活用するとどういうことができるのか?という話題はもちろん。

どこまで使えるか、信用できるのか、という話題も増えてきている印象です。

プログラムで考えると、ほぼ人間が書く必要もない状態がエージェントAIによってもたらされました。

もちろん、まだまだ問題は内包されているものの、開発環境は大きく変わっています。

こうなってきた時に出てくるのが「暇」という感覚です。

日本人は基本働き者なので、業務時間中の暇を嫌う人は一定数いると思います。

給料ドロボーと思われたくないというやつですね。

また、自分のやりたいことをやるという風潮の中で、それをAIに奪われるのではないか?という不安もあるかもしれません。

なので、「余剰時間の使い方」と「やりがいの喪失」という2つの不安が起きてくるわけです。

これに対する単純な答えは。

・やってほしいことの筋道を示すこと
・筋道に沿ったやりたいことと必要なスキルの明確化

となります。詳しくは別の機会にしますが。

つまり、どのような人材が必要で、育てようとしているのか。

これを明らかにすることが大切なことになっています。

コストか投資か

とはいえ、日本はずっと人材不足が叫ばれています。

人材不足と言っても、実際には必要なスキルを持つ人材が不足している、という現状です。

常に不足していると言われてるのが、デジタル人材の不足です。

それを覆す可能性があるのがAIの利活用ではあるんですがー。

そのためには、利用できる人材を増やすだけではなく、ガバナンスの変更など組織も変える必要もあります。

変えたからと言ってすぐに利益がでるとは限らないので、なかなか取り組めないというのもあるでしょうし。

人手不足のため、日々のやることに追われて後回しになりがちになる項目でもあるかもしれません。

やらないと行けないのはわかっているんだけど・・・というところでしょう。

なので、ここらへんに対する投資はコスト項目と捉えられやすく、取り組まれにくいというのもあると思います。

しかし、実際に現場で働いている人間は、先に書いたような不安や悩みを抱えているわけです。

なので、どのような人材を求めているか、どのようなスキルを身につけてほしいのか。

そのためにAIの導入を始めとする、システムの導入やサポートの状況など。

働く人の意見を吸い上げて、解消することが実は生産性に直結します。

働く人のメンタルヘルスと生産性には強い相関があり、会社と個人との関係によっても変わってきます。

働く環境を整えることの重要性は、「健康経営優良法人認定制度」や「コーポレートガバナンス・コード」という日本の評価制度にも表されています。

なので、将来を見据えた利益を創出するために、今こそ取り組みたいことなのです。

3つの視点

職場環境を変える中で、やはりAIの存在は無視できません。

利活用することで、新しい価値を生み出すことが求められているからです。

そのためこれまでのDXやデジタル化以上の変化が起きます。

なので、3つの視点が大切です。

心理的安全性の確保

AIによってもたらされる変化は、大きい上に先を読みにくいという特徴がありますし。

正解がわかりにくいといのもあります。

そのような変化に柔軟に対応していくには、多様な意見に基づく意思決定が必要です。

なので、チームの全員が安心して意見を言える、心理的安全性の確保が大切です。

会社と個人の関係性の改善にも繋がり、働きやすさや離職防止にも繋がるものなので。

人材育成をコストにしないための環境づくりとも言えます。

スキル形成とキャリアの提示

大きな変化の中で、必要とされるスキルが180度変わってしまうのが現状です。

なので、会社やチームの方向性として必要なスキルを提示し、支援することが今まで以上に重要です。

人材不足の問題として、個人はどのようなスキルを必要とされているのかわからない、組織は必要なスキルを明確にできていない、というのがあるとのことです。

その状態で無理やりAIを導入しても、思ったような効果を出せないのは当然です。

組織の方向性として、どのようなスキルを持つ人材が必要かを明確にし。

そのスキルを習得するとどうなるのか。

それを示すことで、学びの促進と共に、働くことに対する安心感を生み出すことができます。

業務効率化の本質

AIの導入に当たって良く言われるのは、業務の流れを再確認し。

AIを利活用する部分を明らかにすることです。

デジタル化においても標準化などの文脈で行われてきたことですが。

その変化に待ったなしという状況が、AIによって訪れているとも言えます。

今まで以上に人が何をするかを考えなければならず、それを提示できなければ業務効率化は反感のもとにしかならないとも言えます。

これまでのDXの文脈でも起きた事かもしれませんが。

なので、「なぜ業務効率化をするのか?」「どのようなことをしてほしいのか?」を具体的に方向性として提示する視点も重要です。

人間にしかできないことに注意を向ける

3つの視点のうち、「心理的安全性の確保」と「スキル形成とキャリアの提示」は「業務効率化」により実現しやすくなります。

つまり、業務効率化によって空いた時間はこれまで以上に人間に向けることが重要です。

AIと個人的にチャットを打ったところで、共に働く同僚が変わるわけではありません。

チームが自分の考えを理解し、取り入れてくれるわけでもありません。

つまり、AIなどのデジタル技術による効率化の先には、人間にしかできないことに注意を向けることです。

それは、これまで仕事とされなかった活動を仕事として認め、推奨するということにもなります。

なので、雇用側も働く側も、仕事に関する捉え方を見直す必要があるかもしれません。

人間が生み出すことができる、情緒的な関係性。

感情、共感といったものや、文脈やストーリーというものによる組織づくりやその活動に時間を割くというのが重要になってくるでしょう。

もちろん、多様な働き方によりワーク・ライフ・バランスを実現するという見方もできますが。

そこには関係性という人間でしか生み出せないものがあります。

組織として考えた場合に、空いた時間にやることはこのような環境作りにあります。

そして、個人としても環境づくりに時間を割くために、「本当にやりたいこと」を分解する必要もあるでしょう。

例えば、「WEBサービスを作りたい」というやりたいことは、「ユーザーに喜んでもらうサービスをリリースする」ということだと思います。

「WEBサービスを作るためにPythonを扱いたい」は、やりたいことではなく手段です。

であれば、手段はAIに任せてしまえば良いでしょう。コードレビューは必要ですが。

文章作成においても、資料作りを任せていた〇〇さんがAIによる効率化を達成できれば。

資料の内容の打ち合わせに多くの時間を避けるようになり、より顧客に響く資料とプレゼンを準備できるかもしれません。

私が個人的に思う業務効率化による反発は、手段が無くなることで暇になるとか立場が無くなると言うことに対する不安感が強いのではないかと。

そこをフォローするとともに、気づかせることも大切だと考えています。

このように、組織としても個人としても。

「何を自分がするのか?」を明確にすることが重要でしょう。

見方や考え方を変える

ジェネレーションギャップという言葉がありますが。

生まれた年代によって、見方や考え方が違うのは、しょうがないこととされています。

この変化のようなものが、全世代を対象に訪れたのがAI時代なのかもしれません。

ロボティクスの進歩にもよりますが、現実的に物事を動かすかどうかを決めるのは人間です。

その物事に意味付けをしたり、理由付けをしたり。

どのような物語を作るかは、人間に委ねられています。

人材育成という観点でも、仕組みをAIと作ることはできても、それに熱量を入れ共感を呼ぶのは人間の役割でもあります。

AIだけでなく、クラウドやWEB3といったIT技術の進展により、価値があるとされるものが変わってきています。

人間にしかできない価値創造へ時間をシフトすることが、AI時代の人材育成の革新であると。

そう言えるかもしれません。

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著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!