信頼関係を築き心理的安全性を作り出す「聞き方」

傾聴といっても、こちらから質問しないで相手が話し始めることはないからです。最初に何かを聞くから向こうが話し始めて、それを傾聴する。良いコミュニケーションの出発点には、必ず良い質問があるのです。

2025.8.29 PRESIDENT 頭のいい人が「なぜ」を使わない本当の理由 P.15

ビジネス情報誌「PRESIDENT」2025年8月29日号は「得する聞き方、損する聞き方」という文字が大きく表紙に載ってました。

リモートワークの普及やAIなどの技術が進展し、DXによる業務効率化が進むと。

対面でのコミュニケーションの重要性が語られるようになります。

導入に前向きな企業においては、実際に重要性・・・というよりも、必要を感じるようになっているかもしれませんね。

そのため、コミュニケーションの技術として「傾聴」について学ぶ機会もあるかもしれません。

相手の話を聞く姿勢として、良くいわれます。

が、うまく活かせている気がしていないように感じている方もいるのではないでしょうか?

そういう自分もその一人で、職場を含め。

元々対面でのコミュニケーションが不得意なこともあり、傾聴や話し方、聞き方について色々と学んでみましたがー。

どうもうまく活用できている気がしません。

関係ができている人に対しては活かせている気がしますが、新しく知り合った人に対しては傾聴する前に終わってしまう。

どうしたもんかと思っていた時に、手に取った「PRESIDENT」の特集記事の一節に、引用した文章が載っていたので。

ハートを鷲掴みされました。

一通り読んでみて、傾聴を活かすには「良い質問」と「アサーション」を使い、信頼関係の構築と心理的安全性を感じる環境を作り出すことが役に立つと感じました。

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傾聴の目的と効果

と、まずは傾聴の目的と効果について振り返っておきます。

傾聴とは、信頼関係の構築を目的とし、相手に共感するとともに言葉の奥にある考えや感情を深く理解しようとする姿勢です。

自分の考えや感情は一旦おいておき、相手が感じるように相手に起こっていることを感じることを心がけます。

なぜ傾聴の姿勢が注目されるのかというと、傾聴によって相手の話を聞くことが受容に繋がり、それが「なんでも話していい」とか「ここに所属していい」といった心理的安全性を生み出す環境に近づくからです。

心理的安全性については、過去に読んだ本で投稿したこともありますが。

変化の激しい現代において、成果を生み出し続ける能動的な組織づくりに必要な風土です。

この本の中でも組織内で心理的安全性を確保するために、個人にできることと組織としてできることが紹介されています。

で、当然と言えば当然なんですが。

すでに関係性がある程度できている、または仕事上のコミュニケーションが起こるため関係性ができるであろう、というものが中心なんですよね。

カウンセラーにおける傾聴についても同様で、クライエントが悩みを解決するという前提があります。

つまり、傾聴について学んでいると、その「受け身」の姿勢であることを忘れてしまうため。

実際の場に出ると、関係性を築く前にその姿勢になっていて、思うように活かせていない・・・

というように感じました。

まぁ・・・自分の頭が硬いだけかもしれませんけどね。

なので、傾聴する前に関係性の構築が必要だなと。

常々思っていたわけです。

良いコミュニケーション

傾聴を身に着けようと思うのも、良いコミュニケーションを取るためです。

良いコミュニケーションとはどういうものかというと。

会話や対話を楽しむことができるのはもちろん、コミュニケーションによって何らかの目的を達成できることではないでしょうか?

それは、傾聴の効果でもある「受け入れてもらえた!」という気持ちを、対話する人同士が感じることができることでもあると思います。

相手から思ったことや考えていることを伝えてもらい、それを受け取るとともに。

自分が思ったことや考えていることも伝え、それを受け止めてもらい。

お互いに価値観を認め合い、理解し合うことができれば、「良いコミュニケーションをとれた!」と思うのではないでしょうか?

なので、傾聴だけを心がけてしまうと、こちらから伝えるという要素が欠けていることになります。

そこで身につけたい姿勢が「アサーション」です。

アサーションでWin-Winな関係を目指す

心理学で交流分析というものがありますが、その中で自分と他人に対する評価の状態を表す物があり。

一番良い状態とされるのが、「I’m OK, You’re OK(私もOK、あなたもOK)」という状態です。

自分自身の考え方や感情も認めるし、相手の考え方や感情も認めるという、自他尊重の態度です。

これはアサーションの態度と同じで、相手と対等な関係を築くために必要な姿勢とも言えます。

自分も相手も、考え、感情、要求を相手を否定することなく主張し、お互いに認め合える状態を目指します。

カウンセリングではなく、コミュニケーションとして傾聴する場合は、すべて相手を優先することが大切なわけではありません。

相手を受け入れることが大切です。

そして、コミュニケーションによるやり取りで、自分の持っているものと相手の持っているものをかけ合わせ。

より良いものを生み出すために、相手を理解する姿勢として傾聴スキルをつかい、アサーションの姿勢で自分の意見を伝えるということです。

アサーションは信頼関係の入口となり、その後の関係を維持するための姿勢でもあるのです。

切り口は「良い質問」

傾聴もアサーションも、姿勢や態度といった内面に関わるものを表します。

スキルとして行動に示せるものはありますが、基本的には相手や自分に対する考え方を整えることが主な目的になります。

コミュニケーションは会話や対話により始まるので、思っているだけではとれません。

自分も経験がありますが、話しかけやすい人でも実際に話しかけて良いのか判断に迷うことはあります。

そこで、「良い質問」を投げかけるのがきっかけづくりになります。

傾聴もアサーションも姿勢として語られるのが、相手に興味を持っていることを示すことです。

「良い質問」はある意味、その興味を言葉で示すものでもあると言えます。

では、「良い質問」とはなんでしょうか?

それは、答えやすい事実を確認する質問で、心理的な障壁を感じたり迷う事なく答えられるものです。

事実を確認する質問と、それに対する返答を繰り返し、対話を行って行きます。

会話のキャッチボールを行うことで、話しやすい雰囲気を作り出し。

短いやり取りの中でも、率直なやりとりを繰り返す事ができるのです。

そのような雰囲気ができた時に、話したい事について扱うころには、お互いにその事について自由に語れる雰囲気になっていることでしょう。

自分自身が相手に関心を持っていることと、相手に話してもらいたいと思っていること。

この2つを示すことができるのが、返答しやすい「良い質問」であると言えます。

ただ、短い事実を確認するような質問を繰り返せば良いというわけではありません。

「はい」や「いいえ」だけで答えられるクローズド・クエスチョンに繰り返すと、詰問され責められているように感じさせてしまう可能性がり、逆効果になってしまいます。

なので、自由に語れるオープン・クエスチョンでの「良い質問」を心がけるのが良いでしょう。

少し目的が異なりますが、ソリューション・フォーカスト・アプローチの手法が役に立つかもしれません。

連携させて信頼関係を構築していく

傾聴・アサーション・良い質問はそれぞれのスキルを引き出すために関係しています。

信頼関係を築くのに傾聴やアサーションが効果的ですが、そのきっかけとなるのが「良い質問」です。

相手が語る内容を傾聴により相手を理解することに努めます。

そして、相手が語った内容を尊重しつつ、自分の考えや感情を話し、Win-Winな関係を築きます。

この3つの関係を行ったり来たりすることで、信頼関係が築かれていきます。

信頼関係を構築することで、心理的安全性が確保しやすくなります。

そのような状況ができれば、問題や悩み、課題が立ちはだかっても。

力を合わせて解決に向かうことができますし、抱えている相手を助けることにも繋がります。

そのように協働していくことで、豊かな人間関係が築かれていくと。

少し明るい気持ちになってきますね。

信頼関係の構築や心理的安全性の構築には努力が必要ですが、取り組んだ分の効果が少しずつ出てきます。

隔週誌をここまで読み込み考えてみることになるとは思いませんでしたが。

他にも色々な切り口から「聞き方」について扱われているので、とても楽しい時間でした。

ここにあげた方法以外でも、取り組んでみた事があれば、コメントで教えていただけると嬉しいです。

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