【読書記録】人生は攻略できる(著者:橘玲)|いつだって20代

2024年11月28日

「橘玲」という著者名を見ると、自然と手が出るようになりましたw

パブロフの犬ですw

そんな軽いノリで手に取った本が、今回の「人生は攻略できる」です。

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副題はちゃんと「リスパ思考の成功法則」というのがあるにもかかわらず、我ながら頭が悪そうな記事の副題を付けたなと思いますw

合理的な人生の設計方法

人生をRPGに見立てて、ゴールを「幸福になること」とした時に、金融資本・人的資本・社会資本の3つの資本が土台となると定義し。

その攻略、つまり人生の選択を正しく行えるように、社会のルールや仕組みを紐解きつつ、どのようにその土台を形作るかを展開している本です。

経済合理的にお金持ちになる方法として、橘玲さんは「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」や「貧乏はお金持ち」という本を出版されてますが。

それの人生版と言えるかと。

なので、合理的な人生の設計方法を、橘玲さんの社会や世界の捉え方を元に説明してくれているという感じです。

個人的には、自己啓発書のベストセラーである「7つの習慣」で語られている原則を、日本風にアレンジしたらこうなるかなぁと思いました。

幸福と仕事

先程の3つの資本は、お金(金融資本)、仕事(人的資本)、愛情・友情(社会資本)、とも言いかえられています。

仕事とお金が結びつくのは分かると思いますが、いまではお金と愛情・友情が結びつくようになっています。

と、愛情・・・も一部そうなりつつある気もしますが、友情はネットワークの発達により急速に拡大しています。

このまま書くと語弊を生みそうなので、橘玲さんの論をお借りして。

1人の愛情空間、最大200人の友情空間、その他大勢のお金でつながる「友だち」の貨幣空間と分けて語っています。

SNSで「フレンド」と言ったり「友だち」という方を、「知り合い以上、友だち未満」とされる人々です。

フォロー・フォロワー関係といった方がわかりやすいかもしれませんが、その数や投稿への「いいね」など評判が数値化されているとも。

そのように形成されたコミュニティが、お金を生み出しているのが今の時代です。

流れとしては、仕事により評判を獲得し、ネットワークが形成され、お金になる。

では、その仕事がどこからもたらされるかと言うと、愛情・友情による社会資本からとされています。

それが第3章の「世界編3「好きを仕事に」の法則」で、友だち集団の中で形成される「キャラ作り」で説明されていますが。

ここでのキーワードが「スピリチュアル」です。

この言葉自体は第2章「世界編2自分らしさは友だちの中で作られる」で定義されています。

君が「自分」を知らなくても、無意識は君が何者なのかちゃんと知っている、ということだ。この無意識を、ここでは「スピリチュアル」と名づけよう。

第2章 世界編2自分らしさは友だちの中で作られる P.63

第3章で「好きを仕事に」する方法を説明するにあたり、その前の第2章では「好きなこと」の見つけ方を説明しています。

興味深い内容なので、引用するとものすごいことになるので。

自分の理解でざっくりと説明すると、友人関係の中でキャラ付けが行われる理由が、目立つためであるとされています。

これは生物学的な本能で、仲の良い友人関係の中でも目立たなければ、異性から注目されることができないからであると。

そして、このキャラの位置づけになるのが、自分らしくあれる「得意なこと」が発揮されるそうです。

そうでなければ、その友だち集団から離れることに。

その自分らしいキャラかどうかを無意識に判断しているのが、「スピリチュアル」。つまり、自分自身の無意識の知覚であると。

その得意なことが同じだとしても、友だち集団の中での好みや興味によって、好きなことが変わります。

その好きなことがなぜ現れるかというと。

得意なことで頑張ると、みんなからほめられる(彼氏や彼女から「すごいね」といわれる)。そうするとますます好きになって、夢中になって頑張るようになる。これが、すべてのひとのこころを支配する「スピリチュアルの法則」だ。

好きなことは得意なことで、「自分らしい」ことでもある。ここからわかるのは、「圧倒的な努力」ができるのは好きなことだけという単純な事実だ。

第3章 世界編3「好きを仕事に」の法則 P.81~82

自分が求めているものや、興味のあることは時間の使い方を見れば分かるということは良く言われますが、好きでなければ時間を使うことはできないということです。

これは、まえがきで書かれている「1日24時間は全員平等」であり、人生の期間も限られる中で、それだけ時間をかけ、努力できることは好きなことしか無いと繋がります。

しかも、その好きなことというのは、自分が無意識で求めていて、無意識で得意な方法でやっていることでもあると。

なので、自分らしい仕事につながるというわけです。

ここらへんは、前に読んだ「やりたいことの見つけ方」や「才能の見つけ方」にも通じる部分がありますし、納得が行ったところでもあります。

つまり、どんなに「どれが本当の自分だろう」と探しても、自分の「スピリチュアル」と友人関係が、好きな仕事を持ってきてくれるわけです。

で、キャラ付けということも踏まえると、好きな仕事とは。

ある意味では自分が価値提供できる役割という言い方もできそうです。

得意というのは状態であり、行動であり。

好きというのは、対象です。

なので、好きな対象にどうアプローチするのか、好きな対象をどう扱うのかは、得意なことで行うことになり。

好きという職業を、得意な方法で動かす、ということが言えます。

どうしても一人でこもって悩んだり考えたり、本を読み漁ったりしてしまいますが。

過去の自分の友人との関わり合いや、褒められたことを見つめ直す方が効果的なんでしょう。

良く考えれば、仕事とは何らかの価値を提供することなので。

身近な友人からそのような評価を受けたことは、それだけ価値がある事といえます。

実際、先程上げた「やりたいことの見つけ方」や「才能の見つけ方」の主な手法は、自分の経験の振り返りですし。

自己啓発本でそのような方向性を導くものも、大体同じ内容だと思います。

「100倍の法則」

この記事の頭の悪そうな副題「いつだって20代」ですが。

その回収となる考えに至った経緯が、「おわりに」に書いてあった「100倍の法則」です。

正直、最後まで読み進めてて、この話題を出した理由がイマイチ掴めなかったので、少し考えてみました。

「100倍の法則」の内容は、ざっくりと嫌なことをした人は1/100に評価し、嫌なことをされた人は100倍に評価するというものです。

加害者は忘れるけど、被害者は事細かく覚えているということですね。

この本では、一貫して好きなことを見つけたら、それを仕事にするためにトライ&エラーを繰り返し、「スピリチュアル」に嘘をつかない選択をすることを勧めています。

そしてそれは、日本の基本であるネガティブゲーム(周囲を気にし、目立たない選択)が支配する中で、ポジティブゲーム(枠を外れ、目立つ)をすることが、成功しやすい秘訣であるとしています。

ただ、「出る杭は打たれる」ということわざがあるとおり、目立つ存在は叩かれてしまいます。

ここに、「100倍の法則」が当てはまって来るのではないかと。

なので、トライ&エラーを繰り返すこと自体が難しい社会なのかもしれません。

しかし、あとがきのこの前では、大人になるとはどういうことかについて論じています。

そして。

もはや誰も大人にならないし、なれないのだ。

おわりにー幸福に生きるためのヒント P.255

成熟が必要な社会は、貧しくて、人間社会が行きていくために役割分担が必要であったとしています。

なので、大人になる、成熟する、ということは。

社会・共同体の一員として秩序を保つために、大人としての責任ある能力や考え方を身につけることにより、役割を果たすことであると読み取れます。

しかし、「ゆたかな社会」では役割分担をしないと生きていけないほど、困ることはない。

そのため、成熟の必要がなくなり、大人になれなくなった。

ということです。

そのため、友だちのような母娘が増えたと。

母娘なので女性関係だけですが、これと「100倍の法則」の関係を考えてみると。

単純に友情空間がより小さくても成立するようになった、と捉えることができそうだなと。

家庭外で形作られた友だち関係が、家庭内でも成立するようになり。

しかも、友だちよりもある意味では良く知っている人同士なので、「スピリチュアル」が求めるものに近い「好きなこと」を見出すことができるのかもしれません。

家庭外の場合、ポジティブルールにより目立つ行動をした場合、その友達関係の共同体から外されることになるかもしれません。

100%とは言いませんが、そのようなことになる可能性が低い家族の中で、そのような関係性を作ることができれば。

貨幣空間での知り合い関係を作った時でも、自分らしく行動しやすいのではないかとも思います。

まぁ、エッセイのような文章の流れになっているので、参考になりそうなテーマをまとめただけかもしれないんですが。

ただ、引用した「大人になれない」は結構衝撃を受けた一言なので、深読みをしてしまいました。

と言っても、昔からよく聞く「最近の若者は〜」というボヤキは、社会がゆたかになっている証拠なんだなぁと。

また、大人になれないし、寿命が伸びていることを考えると。

トライ&エラーをできる期間も長くなっていると捉えることもできそうです。

もちろん、社会的、世間的に許される年齢はあるとは思いますが。

それでも、「今からでも遅くない」というの言葉の真実味を、この言葉から感じることができました。

なのでカラダと頭が元気なうちは、「いつだって20代」という気持ちで取り組み続けようかなと。

アラフォーのおっさんは思ったわけです。

どのような体験を積み上げるか

橘玲さんの知識と知恵で人生の設計図を書くと、こうなるんだなぁと。

学生向けに書いたものであるはずなのに、私ぽんぞうもかなり前向きにさせていただきました。

幸福の定義が、「後から人生を振り返った時に「幸福だった」と思う」ことであり、そのためには「好きなことを夢中でやって、今が楽しいを作る」ことでもあるとこの本でされています。

つまり、好きなことに夢中になって取り組み体験を積むことで、幸福に近づくとも考えられます。

やらなければ後悔になりますし、何も無ければ虚しくなるかもしれません。

今はリスクが取れる社会で、失敗しても再チャレンジができる社会とも言われています。

根気よく、力強く、歩いていきたいと思った本でした。

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