生成AIとの付き合い方が変わった話④|一時の不具合で将来の不都合を解消できる

「生成AIとの付き合い方が変わった話」と題して、シリーズ記事を書いてきました。

自分はAIエンジニアではありませんが、AIを使うことで仕事からプライベートまで色々なことが変わると思ってます。

というか、この記事を書いてる段階(2024年10月時点)で結構変わってると思うんですよね。

「AIを導入するのか?何らかのプログラムで解決できるのか?」という議論がされていれば、それだけで違うと思いますし。

また、生成AIの登場によって、すでに自分たちの知らないところでAIが働き、恩恵を受けている状態もあると思います。

技術の浸透や発達で考えると、かなり前向きで良い状態がAI周辺で起こっているとも。

しかし、実際に利活用しようと考えるとハードルが高いのも事実です。

前回はそのハードルについていくつか書きました

前々回の記事では、生成AIを面白がるだけではなくて、利活用するための考え方についても書きました。

そして、このシリーズの最初の記事で、自分は「第2の脳」としてAIを捉えていると書きました。

なので、ざっくりと。

・AIをどのように捉えるか
・AIの活用とはどういうことか
・AIを活用しきれないのはなぜか

ということを、長文で書いてきたことになりますw

今回はシリーズ最後の記事として、実際に個人で利活用するための行動について書いていきます。

問題解決に技術を活かす

AIに限った話ではないんですが、技術は問題解決のために活かされます。

例えば、会社を立ち上げたばかりで仕事を取るために見積書を作るとします。

急ぎの案件だったので、Wordを使って全て手入力で行いました。

しかし、見積もりは1社だけに出しても仕事に繋がる可能性は低いかもしれません。

なので作業効率を上げるために、Excelを使い表のフォーマットを作りました。

住所・氏名などの定形の項目の入力の手間が減り、数を作れるようになりガンガン郵送できるようになりました。

しかし、ペーパレス化によりPDFに変換した上で、メールでの提出が求められるように。

郵送のコストは減りましたが、見積書の作成数が激増しました。

なので、作成したExcelの表に関数を使い、入力を最低限にすることにしました。

とはいえ、エクスポートしてPDF化しメールで送信するという作業が残っていたため、送り間違えが起こるように。

そこで、プログラミングとPowerAutomateにより、入力数を削減するとともに、送信先のチェックなどのバリデーションも追加しました。

今では営業中にスマホから社内のネットワークにアクセスし、見積もりをその場で提示できるように・・・

と長くなりましたが、技術を活用することで、問題に対処することができるようになります。

しかし、「プログラミングとPowerAutomate〜」から先は、問題の解決になるのに「導入しない」という選択が多いとも思います。

IT技術に明るい人がいないとか、予算の兼ね合いで導入できないといった理由もあるかと思いますが、大体は「導入する必要がない」「今の状態で足りている」というものだと思います。

実際に問題は起きているけど、大きな問題になっていないからというリスク受容の立場かもしれませんが。

必要は感じてても、今までの習慣でやってしまうとかもあります。

ここに、AI利活用の鍵があります。

問題の解消は将来の不都合を回避するため

もう一度見積書の作成の例に戻りますが。

「Excelで見積書の表を作る」のと「関数を利用する」の間には大きな壁があります。

「表を作る」までは直感的な操作でできて、(面倒くさいけど)やれば楽になるから取り組めます。

しかし、「関数を利用する」となると、そこに「勉強」というコストが発生するため、「楽になりそう」だけどやらない、という選択になる可能性があります。

自分が「勉強」に使う時間と、その見積書を作って「営業」に使う時間のどちらの方が利益になるかという比較をすると、多少の手間であれば手入力でやってしまうという選択が一つ。

また、「営業」に時間を使いたいから、知っている人へ「依頼」するという選択もありあますね。

しかし、少し立ち止まって考えると、関数を実装すれば、入力の手間が減りますし誰かに頼むための行動や時間が不要になります。

その分、目的にしている営業時間の確保に当てられるのではないでしょうか。

・・・Excelの業務効率化の記事みたいになってきましたが、あくまでAIについての記事ですよw

AIの導入や利活用というものは、この「Excelに関数を使う」みたいなものと捉えてください。

つまり、使えるようになるまでは面倒だし、調整が必要かもしれないけど、導入すれば生産性を上げることにつながるということです。

ただし、AIは1記事目で書いた通り、知的作業を代替できる「第2の脳」です。

脳を使うような作業で、しっかりと働かせているものは一部で、大部分は習慣や先入観(やらなければならない)でやっているものだと気づきました。

なので、その大部分をAIに置き換えれば良いわけですが。

3記事目で書いたような、生産性を上げるためのアプローチが必要です。

人間の部分とAIの部分を分ける

何をするかというと、行うことを知的作業レベルで分解する、ということです。

先程のExcelの例に戻って、見積書を作るとします。

細かくしすぎない程度に細かくしますが。

・見積もり条件の決定
・条件にあう内容(製品)の選定
・条件にあう内容(製品)の決定
・金額の決定
・金額の調整
・入力
・入力チェック
・印刷またはPDF化
・上司の承認
・提出

この中で、人間じゃないとできない部分とAIに任せる部分を決めるのです。

なので、AIができないことを考えると。

・見積もり条件の決定
・条件にあう内容(製品)の決定
・金額の決定
・金額の調整
・上司の承認
・提出

といった、対人になるものや決定に関わるものです。

それ以外のものはAIに任せられます。

・条件にあう内容(製品)の選定
・入力
・入力チェック

チェックは人間もした方が良いですが、基本的に規模が大きくなると面倒になる「作業」を任せることができます。

情報を収集し、分析し、提案すると言ったデータ処理は、人間でもできますが労力を考えると「面倒」です。

しかし、AIは得意です。

入力も人間が急いでやると、誤字脱字や間違えがあったりで、後々問題になるかもしれません。

AIじゃなくても良い内容とはなりますが、コンピューターは淡々と入力するだけなので、エラーは起こりにくくなります。

さらに、見積書作成の後半部分「プログラム〜」以降のシステムを作成しようと考えた場合。

AIに実装したいプログラムの概要を伝えることで、コードを作ってくれたり、実装方法も教えてくれるわけです。

どのホスティング業者と契約して、どのような構成でなどを決めて環境を用意すれば、後はAIと協働してシステムとして稼働させることができます。

なので、まずは立ち止まり「問題」や「不都合」と感じている原因を、それがある作業を分解することで特定し、AIに任せる部分と人間じゃないとできない部分を分けることから始めましょう。

最初はうまくいかないかもしれませんが、なれてくれば人と話しているかのように作業を進めることができます。

人間のできることはなくならない

このように分解することのもう一つの利点は・・・少し大きめに言いますが、人間の仕事がなくならないということです。

もちろん、現時点での話ですし。

AI技術が進歩することにより、任せられることの幅が広がれば、人間じゃないとできないことは減ります。

また、ロボット技術が発達し、AIが体を手に入れたらまた環境は変わります。

しかし、その状況にならないと分からない事が多いので、今できることはAIと協働する方法を知り扱ってみることです。

AIによって、対人などの現実世界に影響することに集中できる、つまり、本来人間がやるべきことに時間をかけることができるようになるのです。

一般に普及するもので考えると、人間による入力→AIによる出力→人間による活用、という流れは当分変わらないとも思います。

ただし、AIを使う側とAIに使われる側という違いは出てくると思ってます。

AIを使う側は、より知的な活動が加速するでしょう。

AIの力を借りて、実現したいことや解決したい課題への具体的な解決策への到達の速度が上がるかもしれません。

その場合、より高度な対人スキルのようなものが必要になりそうです。

そこにもAIを利用した駆け引きとかありそうですがw

AIに使われる側は、より単純な労働になる。

ただし、劣悪な労働環境ではなく、作業内容も明確で、だれでも同じレベルで実施でき、時間も正確で、しかも労働自体を楽しむ工夫をAIがしてくれるかもしれません。

生活費を稼ぐためのコスパやタイパで考えたら、意外と幸せかもしれませんが。

まぁ。どちらが良いかはその人に寄るのでなんとも言えませんが。

どちらにしても必要なのは、「AIと協働する」ことに慣れることです。

そのためには、作業領域を分けることに慣れる必要もあります。

機械の操作と同じで、調整は作業員が行い、加工は機械が行うとかです。

3D設計を設計者が行い、造形を3Dプリンターが行い、細かい塗装は人間が行う、というのも作業領域を分けることになります。

これを、当然の流れではなく、作業領域として把握するクセが大事なのかもしれません。

AIの利活用は考え方を変えてくれる

1記事目をかき始めたときは4記事になるとは思っていませんでした。

1記事で書き上げられると思っていたんですが、自分の中で色々と整理しながら書いていたら4記事になってしまいました。

自分自身、AI、特に生成AIへの失望を経験した人間です。

思ったとおりの出力が出ないとか、プロンプトが浮かばないとか。

しかし、技術の向上によりほぼ話し言葉と同じ使い方でプロンプトを作成できるようになっています。

出力も自分の期待したものに近いものが出るようにもなっています。

革新的な技術により、人間は様々なことから解放されてきましたが。

どちらかというと、行動が開放されて考え方が変わるという感じだったと思います。

AIの技術は考え方から解放されて、行動を変える技術だと思っています。

今までと逆の流れのように感じるので、心理的な抵抗があるのも事実だとも思います。

しかし、AIの捉え方を変え活用方法を見直すことで、自分は仕事や作業への満足度が変わったというのがあります。

また、プログラムの実装に1週間かかっていたものが1日で終わるなど、処理能力も上がったとも実感しています。

これは余談になりますが、G検定を受け勉強することで、一連の作業の中でAIを活用する部分と自分が集中する部分をより詳しく考えられるようにもなりました。

なので、まずはAIを扱ってみてください。

そして、より使いこなしたくなったら、「自分でやれば良いや」とか「プログラムで組めば良いや」といった考えを捨てて、自分の行動を分解してみてください。

普段何気なく無意識で取っている行動について分解することになるので、気持ち悪くを感じるかもしれませんが、そういった作業を置き換えることがスタートだと思います。

つまり、自分が大事にしている活動に気づくきっかけにもなるのです。

それが、一時の不具合で将来の不都合をAIで解決する術の一つです。

やってみると、生成AIとの付き合い方が変わってきますよ。