診断と心理学の関係|心理学検定 A領域(臨床・障害)

私達は、ころんで擦り傷を作ると。

消毒して絆創膏を貼るという対処を行います。

インフルエンザという診断を受けたら、処方された特効薬を飲み安静に過ごします。

このように、身に起きた事に対し、一定の効果が見込まれる対処を私達は行います。

精神疾患の診断も同じく、症状に合わせた心理療法を選択するために行われるものです。

今回は、心理学検定の範囲に基づき、精神疾患の基準や検査について見ていきます。

インフォグラフィック

DSMとICD

精神疾患の診断基準として世界的に使われているものが、DSMとICDです。

精神疾患は身体の病とは違い、行動や話すことなど観察できるものから評価し。

ある精神疾患の項目に一定数当てはまっているか?という観点で行う、操作的診断基準です。

DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は、アメリカ精神医学会が作成している精神疾患の診断統計マニュアルです。

研究や臨床で広く利用されていて、精神疾患で検索した時の説明でよく見る英字という印象です。

ICD(International Classification of Disease)は、WHOが作成している国際的に統一された死因・疾病の分類です。

精神疾患に限定されたものではないため、2022年のICD-11では第6章に記載があります。

細かな違いは見られますが、基本的な内容は一致している印象です。

・・・といっても、私自身は実物を見たことがなく。

心理学のテキストなどを見ての感想でしか無いんですけどね。

これらの基準ができることで、薬や治療の有効性を国や文化を越えて評価できるようになり。

信頼性の高い診断に繋がっています。

心理検査

検査で用いられる手法は、このシリーズの以下の記事でまとめています。

なので、細かい方法については触れずに検査を行う目的について触れていきます。

DSMやICDの基準にそって診断をするためには、クライエントのことを知らなければなりません。

心理検査は、クライエントの問題の背景にある心理的・環境的要因を理解するために、心理学の理論に基づいて行う検査のことです。

その中でさらに、性格検査と知能検査に分けることができます。

性格検査は、クライエントのパーソナリティを測定・理解するための検査です。

問題の性質や要因を明らかにするのに、有効な方法とされています。

しかし、一つの検査ですべてのパーソナリティを測ることはできないので、複数の検査を組み合わせて行われます。

この手法はテストバッテリーとよび、意識の部分と無意識の部分の両面から見れるように計画されます。

クライエントのためとは言え、検査を負担に感じる可能性は少なくありません。

何らかの問題を抱えて訪れているのに、検査だらけだったら嫌になるのも当然です。

なので、検査実施前の検査アセスメントによる本人理解や、検査を実施する意味を理解してもらう努力も大切です。

心の問題なので、信頼関係は重要ですね。

検査後にもフィードバックを行い、クライエントに有益な情報となるように実施することも大切です。

知能検査は能力の測定を行います。

・環境に適応する力
・学習する力
・問題解決力

こういった能力で、IQ検査のようなものですね。

最近ではインターネット上での簡易的な検査も良く見かけます。

ビネー式知能検査では、精神年齢を算出し、実際の生活年齢と比較することでIQを計算しています。

ウェクスラー式知能検査は、知的能力のばらつきを見るのに優れているため。

発達障害の人の特性理解や能力の把握に利用され、得意なことや不得意なことを客観的に知ることができます。

診断や把握のためとは言え、心理検査はクライエントの特徴や能力を測ることになります。

そのため、途中で書いたように検査の目的など丁寧な説明が必要とされますが。

検査自体にも、妥当性や信頼性が求められるとともに、以下も大切なこととされています。

・客観性:検査の方法が統一されていて、テスターの主観が判定結果に影響しない
・弁別性:測定したい対象の質的・量的な難易度の配分がバランス良くまとまっているか
・実用性:実施する過程がわかりやすく、無理なく実施できるか
・標準化:妥当性・信頼性・客観性が担保されている検査で、多くの統計的な検証がされているか

クライエントの状況を正しく理解するために、細心の注意が払われているのですね。

主な精神疾患

神経発達症

日本の発達障害者支援法では。

「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢においた発言するもの」

と、発達障害を定義しています。

学習面や行動面に問題を抱える児童の支援を目指す動きの中で定義されたもので。

病気や環境による問題ではなく、脳の機能の特性であると捉えます。

2013年のDSM-5から、成人になってからの診断可能性も考慮され。

2022年のDSM-5‐TRから、神経発達症群として。

・知的発達症(知的能力障害)
・コミュニケーション症群
・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠陥多動症(ADHD)
・限局性学習症
・運動症群

などがまとめられています。

問題を抱えていることに間違いはありませんが、成人の診断可能性が高まったことで過剰診断の弊害も起きているようです。

統合失調症・気分症群

脳内の神経伝達物質などが関与する、精神治療の中核となるものです症群です。

統合失調症は内因性の代表的な疾患とされ。

DSM-5-TRでは統合失調症スペクトラム症群として、

・統合失調型パーソナリティ症
・妄想症
・統合失調様症
・統合失調症

などが含まれています。

一般的な意味での「脳の病気」とされ、薬物療法を中心に行動療法や社会支援が選択されます。

気分症群はICD-11のカテゴリーで、双極症と抑うつ症が配置され、躁病・軽躁病・抑うつの3つのエピソードに分けられています。

比較的耳にする病名だとも思いますが、青年期や中年期に発生しやすく、再発を繰り返し慢性化しやすい疾患であるとされています。

一人の社会人として期待されやすい年代であるため、家族や社会への影響が大きく。

さらに、本人の自尊感情や社会適応力の低下にも繋がる、悪循環に陥りやすいものです。

薬物療法と並行して心理療法も実施し、社会復帰支援も適切に行う仕組みが大切です。

不安症・ストレス関連症・心身症

ストレスや心理的な要因が生活を困難にする症群です。

病的な不安を中心症状とする一群をDSMでは不安症群としてまとめ。

DSM-5-TRやICD-11では、

・限局性恐怖症
・社交不安症
・パニック症
・広場不安症
・全般不安症

が含まれていて。

不安や恐怖といった心理的原因やストレスと密接に関連したものとしています。

そのため、不安や恐怖といった感情に対処するための、エクスポージャーの利用が効果的であとされています。

同じく不安や恐怖に係る疾患として、強迫症があります。

こちらはセロトニンの調整障害が示唆されています。

強迫観念や脅迫行為により、生活に影響がでてしまうものです。

ストレスが原因となるものの代表的なものが、心的外傷後ストレス症(PTSD)です。

死にかける重症を負ったり、性的暴力を受けると言った外傷的出来事によるトラウマ体験を原因として、著しい機能障害を引き起こすものを言います。

トラウマ体験が長期間に渡ると、複雑性PTSDとされる場合もあります。

トラウマ体験とまでは行かなくても、生活の大きな変化やストレスにより、社会的な行動に影響がでるものとして、適応反応症(適応障害)もあります。

これらのストレスを原因とする疾患は、外部に因子があるため誰にでも起こり得ます。

また、高血圧や喘息、糖尿病などの身体疾患の発症や経過に、心理社会的な要因が見られる場合は、心身症に分類されます。

症状に対処しても原因が解決されないため、症状の悪化や長期化に繋がりやすいものです。

このように、自分の感情という内側や、出来事などの外部の要因からも問題を抱えてしまう場合もあります。

パーソナリティ症・依存

DSM-5-TRでは。

「その人の属する文化から著しく偏った内的体験や行動の持続様式であり、認知、感情、対人関係機能、衝動の制御といった領域において柔軟性がなく、本人は著しい苦痛を感じ社会的機能障害を起こしている」と、パーソナリティ症を定義しています。

これまでに見てきたような、脳の機能や脳内物質のはたらき、外部の要因というものではなく。

長期間にわたる考え方や行動の偏りにより、苦痛を感じている症状と言えます。

その偏りによって分類されていますが、パーソナリティの特性を見ることで個別に特徴を決めています。

行動の偏りという視点で見る、依存もあります。

薬物依存症やアルコール依存症は、何らかの物質の使用により起こるため、物質使用症と分類されています。

また、ギャンブル行動症やゲーム行動症という、意思では止められない行動のクセも依存症に含まれているようです。

私達自身の考え方や行動の習慣も、精神疾患に繋がりかねないとも言えますね。

支援の広がり

精神疾患は、脳の機能や神経物質、考え方や感情、外部要因、行動など様々な要因で起こってしまうものです。

そのため、様々な心理療法によるアプローチにより、クライエントに合わせた対処が必要とされます。

これらの治療を一時的なものにしないためにも、周囲の支援は欠かせません。

地域社会、所属集団、家族などの集団における支援システムと人的資源を活用したネットワーク構築と、予防教育を実施する活動を、コミュニティ・アプローチと言います。

・ソーシャルワーカー(精神保健福祉士、社会福祉士)
・児童相談所職員
・保健所の保健師や医師
・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
・警察の心理職
・地域の民生委員
・弁護士

など、地域社会全体で問題を抱える人への支援を行います。

この体制が機能していると、災害にも対処する事ができるので。

個人への支援だけでなく、社会的な強力関係を築くのにも大切なものと言えます。

診断は理解の一歩

精神疾患は症状として外部に表れているとしても、背景にも対処しなければ問題の解決には至りません。

そのため、人の心を解き明かす心理学の知見が、臨床にも活かされています。

また、基準からも分かるように、正常と異常をきっぱりと分けられるものではなく。

グラデーションであるという理解も大切です。

何が起きているのかを理解しつつ、医師や心理士、更には地域と連携するという姿勢が私達に求められているとも捉えられます。

専門職ではないとしても、先入観なく向き合って行けるように努力したいものです。

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著者プロフィール
ぽんぞう@勉強中

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!