教育心理学と学びの支援|心理学検定 A領域(発達・教育)

教育心理学や学びの支援というと、子供を扱うものという印象があります。
実際、どのように学習や教育の機会を用意するかについての内容がほとんどですが。
内容を把握すれば、大人にも活かせるものですし。
未来の日本を支える子供達に対して、地域社会の一員として何ができるのか?
そういったことを考えることができる内容です。
今回も、心理学検定の内容に沿って、概要を掴んで行きます。
動機づけ:やる気はどこから来るか?
この記事を投稿する前に読んでいた「勉強の価値」という本の中で。
勉強は本来楽しいものだけど、学校の勉強はつまらない。
ということが扱われていました。(ざっくりですみません。)
勉強にかかわらずですが、物事を行う時に「やる気」があるかどうかで取り組む姿勢や結果が変わってきます。
しかし、「やる気」を出すのは本人で。
周りがどんなに励ましたり、助けたりしても、「やる気」は出ないかもしれません。
この「やる気」のことを「動機づけ」と言います。
行動のきっかけになると共に。
その行動を続け、目標に向かっていく心理的な過程のことです。
つまり「動機づけ」をきっかけに行動が始まり、学習していくことで自分自身を成長させます。
「動機づけ」には2種類あり。
外部からの影響によるものか、好奇心や興味など内側から湧き出るものかで分けられます。
・外発的動機づけ
義務、賞罰、強制で引き起こされる。報酬を得たり、罰を避けるという目的となる。
・内発的動機づけ
自分の興味・関心に基づいて自発的なもの。行動自体が目的となる。
例えば、法律で決められた交通ルールを考えてみると。
守らなければ罰金を支払わなければならなかったり、重大な違反の場合は免許の取り消しや実刑を受けることになり、不利益が多いのでルールを守ろうとします。
これが「外発的動機づけ」です。
他方、見通しが悪い十字路で。
一時停止の標識がなくても、車を停止させて安全確認をするのは、自分と通行人の安全を守りたいという自発的な行動でしょう。
これが「内発的動機づけ」です。
面白いのは「報酬」との関係です。
「外発的動機づけ」のきっかけとなる、報酬や罰というものは、なくなると動機づけが下がります。
例を変えると、給料がもらえないとわかったら、働く意欲はなくなるでしょう。
「内発的動機づけ」は自発的に行っているものです。
職場の環境を整えるために、自発的に早めに出社をして掃除をしていたとして。
それに気づいた上司が、朝礼の時に褒めちぎったとします。
本人は褒められたくてやっていたわけではないので、嬉しさもありながら注目されてしまったことで恥ずかしく感じてしまうかもしれませんね。
そうなると、再び注目を集めたくないので掃除をやめてしまうかもしれません。
この効果は「アンダーマイニング効果」と呼ばれ、「動機づけ」を強めるつもりで与えた報酬(この場合は、褒めること)が、「動機づけ」を弱めることに繋がってしまう効果です。
その人の特徴や個性を見極める必要があります。
原因帰属
行動を続ける「動機づけ」の理論に、ワイナーが提唱した「原因帰属」があります。
行動の結果となった原因を、所在・安定性・統制可能性の3次元で捉え、次の行動を決めるというものです。
・所在:原因が、内部にあるか、外部にあるか
・安定性:効果が、一時的なものか、長期的になるのか
・統制可能性:その原因は、自分でコントロールできるか、できないか
どこを原因と見るかは人により違いますが、その違いが課題や目標を成し遂げる動機である「達成動機」で変わります。
どのレベルで成し遂げようとするか?という水準です。
◯達成動機が高い
成功:自分の能力の高さや努力の賜物と捉える
失敗:努力が足りなかったと考える
成功により自己肯定感が高まり、次の行動に活かすことができ。
仮に失敗という結果になったとしても、問題部分を把握できているので、対処することができる。
そんな「動機づけの高い」人です。
◯達成動機が低い
成功:課題が簡単だったのでは?運が良かったのでは?、と考える
失敗:自分の能力が足りないと考える
成功しても、テストの内容がたまたま簡単だったとか、たまたま勉強したところが出たというような「運」に原因を求めます。
これはまだ「良い」という思いがあるので、次の行動も踏みやすいかもしれませんが。
失敗した場合、努力や方法ではなく、自分の元々の能力が低いから、失敗しても当然と考えてしまい。
「やるだけ無駄」という、「動機づけの低い」水準になってしまうのです。
この「やるだけ無駄」という考えてしまう結果が続くと、「やっぱり失敗した」という気持ちが続き。
「何をやっても無駄だ」と悲観的な結果を予測するようになるでしょう。
この状態は、「学習性無力感」と呼ばれ、先延ばしや諦めグセの原因の状態とされてしまいます。
ネガティブに感じるかもしれませんが、悪いことが続いたり、落ち込んでいるときにはこのような考え方になりやすいと思います。
少なくとも、私は考えたことはありますね。
基本はポジティブに考える方なんですが。
現代はSNSなどで「結果」を目にすることも多いので。
すごそうな人でも「失敗」している姿を見て、「やっぱりやっても無駄なんだ」と学習してしまうことも多いでしょうね。
どこに原因を求めているか、どう捉えているかを把握すると、励まし方が見つかるかもしれません。
学力と知能
SNSなどで他者の姿を見ることについて触れましたが。
私達は他の人結果を見て自分の行動を変えるという、学習を行っています。
バンデューラは「社会的学習理論(社会的認知理論)」で、モデリングによる観察学習の存在を提唱しました。
「見て学ぶ」という経験は多かれ少なかれあると思います。
テストで良い点を取って褒められているのを見れば、良い点を取ろうと努力するかもしれません。
逆に、悪い点を取って怒られていたら、悪い点を取らないように勉強するかもしれません。
自分自身の経験による学習だけでなく、他の人の行動からも学習しているのです。
このように学習し、身につけた能力と活用する力を「学力」といいます。
この学力の元となる、学習するための能力が「知能」です。
勉強を連想する言葉だと思うので、勉強で例えてみると。
数学の定義や定理を理解する能力が「知能」。
それを使って、問題を解く能力が「学力」と言えます。
なので、知能はただ単に頭が良いか悪いかというより、どのように物事を認知するかの能力とも捉えられます。
知能検査のWAISやWISC-Vでは、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度を指標にして、どのように情報を処理するかを把握します。
これにより、認知の特徴を知ることができ、効率的な学習法の発見に繋がるでしょう。
客観的な指標なので、検査を受けた人に対し、どのような学習を進めるかを考えることもできます。
教育における学習でも、新たなことや知らないことへの仮説検証を元にした「発見学習」や。
オペランド条件付けの理論を応用した「プログラム学習」。
ローゼンタールとジェイコブソンの「ピグマリオン効果」など、様々な手法があります。
理解度などによるクラス分けを行う「適正処遇交互作用」という理論もありますね。
「学習」する人にあった方法で「学力」を上げることが、重要視されるようになっています。
個性に合わせた「合理的配慮」
ここまでの内容はできるだけ一般化するようにしてきましたが、ここからは学校教育に寄っていきます。
大人も子供も、個性にあった教育を行うことで、学習効率が上がり。
自己肯定感を高めながら成長することができます。
この「個性にあった教育」を必要とするのが、発達障害を抱える方達です。
学校教育の現場では、2006年に学校教育法が改正され、特別支援教育制度の対象に発達障害が加えられました。
発達障害の子供は、知的に遅れがないものの、情緒が不安定であったり、自己認識が悪かったり。
集団教育に馴染めない場合があります。
そのため、周りの子ができることができなかったり、協調することができなかったり。
周りの友達からも、変わった目で見られるかもしれません。
その結果、自信を失ってしまったり、自己肯定感の低下を招いてしまいます。
発達障害とされるものは3つあり。
・ASD(自閉スペクトラム症)
社会的コミュニケーションが困難で、こだわりが強い
・ADHD(注意欠陥・多動症)
不注意、多動性、衝動性といった特徴がある
・LD(学習障害)
特定の学習に困難を示す
これらが、組み合わさるため、どのような特徴があるかを把握するために「発達検査」が利用されます。
・新版K式発達検査
「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」のそれぞれ3領域と、全領域で発達年齢や発達指数、プロフィールを算出する
・発達スクリーニング検査
運動(移動、手)、社会性(基本習慣、対人関係)、言語(発語、言語理解)の6領域から検査。
発達遅滞や発達障害の早期発見、精密検査の要否に利用
検査の結果を元に、個別の指導計画を立て。
通級などを利用した専門的な支援により、十分な教育的支援を実施することを目的としています。
実際、私の子供が小学校低学年の頃にADHDの診断をうけて、通級に通っていました。
通うまでは先生や学校の文句ばかり言っていて、楽しそうな感じは受けなかったんですが。
いつしか通級の日を楽しみにするようになり、学校生活自体も楽しめているようでした。
制度だけでなく、担当された先生の努力のおかげでもあると思っていますが。
何より子供が毎日楽しそうに過ごせているのを見るのは、嬉しいものです。
組織で支えるセーフティネット
支援や制度を充実させたとしても、子供には子供の世界があります。
また、インターネット技術の普及などの社会的変化に伴い、子供同士の関係も日々変化しているのが現状です。
ニュースでもいじめによる被害や、社会問題として不登校や非行の問題も扱われています。
子供が安心して学べる環境を願うのは、親だけでなく、地域社会の人すべての願いでもあります。
しかし、実際のところ教師だけで、一人ひとりの生徒の問題に対処するのが難しくなっている現状もあります。
そのため、スクールカウンセラーを配置し、心理的な支援の専門家を用意する制度が始まりました。
問題を抱える生徒自身はもちろん、教員や保護者に対しても心理的な支援を行い、問題の解決に向かいます。
また、問題を抱えないようにする予防的な活動も担うとともに。
生徒の状況に合わせて、教育支援センターやフリースクールといった外部機関とつなぐことも行います。
児童虐待やヤングケアラーといった課題に対しても、スクールソーシャルワーカーの配置が2015年よりはじまり。
子供の学ぶ環境に、より包括的な支援ができるようになってきています。
このような、学校・家庭・地域の関係機関の連携を土台とし、学校教育に関わっていく体制を「チーム学校」と呼び。
こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現に向けた取り組みが行われています。
個性に目を向ける
あまり教育心理学に関わる内容ではなかったかもしれません。
「心理学検定」と書いたものの・・・あんまり関係ないような気もしてきていますが。
私達が行動のきっかけにするものや、継続させる心の動きについては、自分自身にも周りの人にも活用できる見方だと思います。
また、私たちの学習の基礎となっているのは、やはり義務教育期間中の学校教育です。
その学校教育の効果を高めるために、私たちができることはなにか。
考えるきっかけにもなりました。
多様性の時代だからこそ、社会の中で個性的に生きる方法を学習したいものです。
このブログや記事の内容について、疑問に思っている事はありますか?
もしあれば、どんなことでも構いませんので、コメントを残していただくか、問い合わせフォームよりご連絡ください。

はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!










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