心理学の歴史を大雑把にまとめる|心理学検定 A領域(原理・研究法・歴史)

心理学は比較的新しい学問ですが、それでも百年単位の歴史を持ちます。
簡単に概略を示すと。
・心理学は哲学と生理学を元に生まれた
・ドイツで科学として扱われるようになる
・アメリカに持ち込まれ多様な発展を遂げる
・日本にも明治に輸入された
という感じです。
登場人物や提唱された理論、社会的背景など様々なことが関連します。
理解を整理しようとマインドマップを作ってみましたが、削ってもなかなか・・・

この記事では心理学検定の公式テキストを元に、大枠をなぞっていこうかと。
細かく知りたいことはぜひ勉強してみてください。
哲学と生理学
心理学が科学と言われる理由について、研究法の観点から書いたのが前回の記事です。
心理学は精神科学的な側面と、自然科学的な側面を持ちますが、その元となるのが哲学です。
世界史などでも扱われる、アリストテレスやプラトンなどの哲学者達は、心・魂・知覚について定義してきました。
どのように人間の観念が作られるかについて。
フランスやドイツを中心に展開された、生まれつき理性が備わり、生得的にある種の観念が生じるとする理性主義と。
イギリスを中心に展開された、外界からの刺激により発生する感覚や情動による経験によって観念を作り上げるという、経験主義。
この2つの対立構造を経て、多様な視点から心を観察するアメリカ心理学へと繋がっていきます。
生理学により「心の測定」が可能に
自然科学の側面のもとになったのが、内的反応を捉える方法論である生理学で主にドイツで発展しました。
ミュラーやヘルムホルツによる、視覚や聴覚の研究。
フェヒナーの心と身体の数量的な対応関係を知る「精神物理学」など。
外部の刺激に対する反応を測定することで、感覚が測定できることが示されます。
このように、人間の心をどのように捉えるかという精神科学的側面と、人間の心の動きをどのように測定するかという自然科学的側面が共に発展し、関係し合うようになりました。
ドイツ心理学:実験心理学の発展
近代心理学の父と言われるヴントの登場により、ドイツでは科学的に心を調べる流れが本格化します。
ヴントは外から内にでる反応、内から外に出る反応の両方を大切にし。
それを測定するために実験生理学で用いる機器を使用し、実験心理学を開始しました。
そのため、1879年ライプツィヒ大学で世界初の心理実験室を開設。
内観法を用いた反応時間研究などを行い、心の要素の分析を試みます。
これが起点となり、心理学に実験的研究が持ち込まれ、各国の心理学者に影響を与えました。
アメリカ心理学でも、ヴント以前を哲学的心理学、ヴント以降を新心理学と分けられていることからもわかります。
また、ヴントが行っていた民族心理学の研究は、20世紀の社会心理学へとつながります。
こうして心理学は科学への道をひらきました。
アメリカ心理学:心理学の展開の礎
イギリスの経験主義と実存主義の融合により生まれた精神哲学から始まり。
ヴントの実験心理学により多様な展開の礎となったと言えるのが、アメリカ心理学です。
ヴントの弟子であるティチナーの、機能心理学・構成心理学・発達心理学の3つの分類で説明されることが多いそうです。
この中でアメリカ心理学の潮流となったのが、機能心理学でした。
ダーウィンの進化論を背景に、意識の適応的機能を明らかにすることを目的とします。
習慣・注意・記憶といった現象を扱い観察し、心の働きを研究します。
これが、行動心理学や認知心理学など現在でも一般的な心理学へと繋がっていきます。
アメリカ心理学の父と言われるホールは、発達心理学の父とも言われます。
ホールの児童研究運動が発達心理学につながり、認知心理学へと展開されていきます。
また、フロイトの精神分析をアメリカに持ち込み、臨床心理学の発展に寄与しました。
日本にも影響のある心理学者でもあります。
アメリカ心理学は、現代にも通じる実用的なものとして、多様な展開を遂げました。
最初に掲載した関係図の通り、現在の精神医療の現場でも利用される理論の元となっています。
人間の心を多様な視点から観察し、深堀りしていったとも言えるでしょう。
日本心理学発展の流れ
日本では明治に心理学という用語が、西周の翻訳により持ち込まれました。
その後、哲学的な内容が扱われていましたが、アメリカ留学をした元良勇次郎により実験心理学が持ち込まれます。
アメリカ心理学の影響を受けながら、臨床・産業・教育の分野で発展を遂げました。
その間、各心理学分野を扱う学会が設立されたり、大学教育の教職課程での心理学の導入なども行われます。
そして、臨床心理士やスクールカウンセラーといった、臨床・発達の分野での活用が進み。
国家資格として公認心理師制度が導入され、心理学の一般化と社会実装が進んでいます。
流れの把握が大切
ものすごいざっくりとしたものですが、以上が心理学の歴史の流れです。
行動心理学やゲシュタルト心理学、認知心理学に人間性心理学など、影響の大きい分野は多々ありますがあえて取り上げませんでした。
それぞれの分野は別で掘り下げることもできますし。
冒頭で書いた通り、当時の社会や人々の関心により発生した視点でもあります。
どのような流れやタイミングの中で生まれたかを把握するためにも、全体像を掴むことを優先したわけです。
・・・私自身が勉強している中で、つながりが追えなくなったからというのが本音です。
とはいえ。
大雑把すぎるとも思うので、学習の助けになるかなと関係図を作成しました。
色分けしろよと思いますがー。
お役に立てれば幸いです。
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はじめまして、「ぽんぞう@勉強中」です。
小企業に一人情報部員として働いている40代のおじさんです。IT技術での課題解決を仕事にしていますが、それだけでは解決できない問題にも直面。テクノロジーと心の両面から寄り添えるブログでありたいと、日々運営しています。詳しくはプロフィールページへ!










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